少し前にテレビアニメ『超時空要塞マクロス』(1982-82年)を見直す機会があった。当時のアニメとしては画期的だったが、現代の鑑賞眼であらためて見てみると、作画やストーリーなどどうしてもアラが見える。自分自身の目が肥えたということもあるが、やはり作画は言い訳できないほどひどい回があり、かなり思い出補正されていたことがわかった。
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ただし、羽田健太郎の音楽は現代でも十分通用する。インストゥルメンタルのサウンドトラックも素晴らしいが、注目したいのは、アニメのヒロインであるリン・ミンメイ(声:飯島真理)が歌う劇中歌である。
このアニメにおいて「歌」は基本要素のひとつであり、作品上重要な位置を占めていた。そのため中華料理店の娘・リン・ミンメイがアイドルを目指すという謎の設定になり、声優には歌えるということで、既にシンガーソングライターとして活躍していた飯島真理が起用された。いまなら歌える声優はめずらしくないが、当時としてはエポックメイキングな出来事だった。
またリン・ミンメイは人形のようなお行儀のよいアイドルではなく、多少性格に難がある等身大の娘として描かれていたのも斬新だった。
こうした設定のなか、アイドルで活躍するなかリン・ミンメイの歌唱曲がいくつか楽曲が用意された。それがいま聞いてもなかなかよい。そこで音源を探してみると、以下の2枚のサウンドトラック盤に計8曲収録されているのを見つけた。 いずれも羽田健太郎の作曲である。
- 私の彼はパイロット
- 小白竜(シャオ・パイ・ロン)
- 0-G Love (ゼロ・ジー・ラブ)
- SUNSET BEACH
- シルバームーン・レッドムーン
- マイ・ビューティフル・プレイス
- 愛は流れる
- やさしさSAYONARA
ちなみにマクロスの楽曲としては、同じく飯島真理が歌う「愛・おぼえていますか」(作詞:安井かずみ、作曲:加藤和彦)があまりにも有名だが、こちらは劇場版『超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか』の主題歌である。この曲は大ヒットして飯島真理はテレビの歌番組にも出演した。
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すっかりリン・ミンメイとして有名になった飯島真理だが、あまりにもリン・ミンメイの印象がついてまわり悩んだこともあったいう。コンサートで「今日はマクロスの歌は唱いません」と宣言して物議を醸したこともあった。まあ、ひとりのアーティストとしてやっていきたいのに、いつまでもリン・ミンメイでもあるまい。
余談になるが、個人的には80年代のビクター時代の飯島真理のアルバムはお気に入りでいまでも聞いている。なおファーストアルバム「Rosé」はなんと坂本龍一プロデュースだった。
マクロスの影響が大きすぎたことを本人はどう思っているか分からないが、いまでもアニメイベントに呼ばれるというから、ここまで愛される作品に参加できたのはシアワセなことだったのではないだろうか。
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