退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

鈴木其一展 @サントリー美術館

東京ミッドタウンサントリー美術館で「鈴木其一 江戸琳派の旗手」展を見てきました。かなりの規模で鈴木其一の画業を展望できる一大回顧展です。

鈴木其一(すずききいつ・1796 - 1858)は江戸時代後期に活躍した画家で、江戸琳派の優美な画風を基盤にしながらも独創的な作品を残しています。琳派と言えば、俵屋宗達尾形光琳酒井抱一の系譜が思い起こされますが、鈴木其一は抱一の弟子です。

鈴木其一の名前は知っていましたが、「旗手」と称されるほどの存在だとは思っていませんでした。しかし今回の回顧展を見て認識を新たにしました。なるほど素晴らしい。

印象に残ったのは今回の目玉というべき《朝顔図屏風》です。展示会のポスターにもなっていました。この作品からは光琳の《燕子花図屏風(かきつばたずびょうぶ)》を彷彿させられますが、こちらには其一の独自の感覚が感じられて興味深い。大画面の作品で展示場で見栄えがしました。

この作品は米・メトロポリタン美術館の所蔵ということなので、時期は分かりませんが海外に流出してしまった作品のひとつのようです。今回は作品を観る貴重な機会ということになります。

最近、以前はほとんど見向きもしなかった日本美術の展示会に行くようになりました。そこで気づいたのは会期中の展示替えがやたら多いということ。日本絵画は、油絵などと比べて痛みやすいのが理由のようです。ですから、お目当ての作品がある場合は要注意です。出かける前にチェックしましょう。

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