退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『マネー・ショート 華麗なる大逆転』(2015) / 空売りに便乗したかったよ!

早稲田松竹で映画『マネー・ショート 華麗なる大逆転』(2015年、監督:アダム・マッケイ)を鑑賞。サブプライム住宅ローン危機の中で巨額の利益を上げた投資家たちを描く。

ヘンな邦題が付いているが、原題は The Big Short で、「巨額の空売り」ぐらいの意味だろう。マネー・ショートだと資金不足(money shortage)みたいでおかしい。原作小説の翻訳には『世紀の空売り 世界経済の破綻に賭けた男たち』というタイトルがついている。

金融関連の映画ということもあり、『ウルフ・オブ・ウォールストリート』(2013年)のようなテイストの映画に思えた。金融用語の詳しい知識は必要ないが、リーマン・ショックについてまったく知らないと見ていてツライかもしれない。

映画のなか、いきなり入浴中のお姉ちゃんがサブプライムローンの説明を始めたり、各所に金融ネタが仕込まられているが「なるほどわからん……」と唸るばかり。それでも観客はリーマン・ショックを引き起こした、住宅バブルが崩壊したことは知っているのがこの映画の大前提。

主人公たちがバルブ崩壊をいち早く察知し、資金を調達して空売りを仕掛けて巨額の利益を得る話だ。その崩壊のタイミングが読めないのがドラマを面白くしている。そしてついにバルブが崩壊したときの主人公たちの喜び方がすごい。だが、はしゃいでいる若者に対し、メンター役のブラッド・ピットが「これから仕事や住む家を失う人がたくさん出るのにそんなに喜ぶな」と一喝。「え、おまえが言うな」と思ったが、そのシーンがいちばん自分のなかでは響くものがあった。

タイトルでは「大逆転」と謳っているがバルブが崩壊するのは歴史上の事実なので、どんでん返しの醍醐味はない。それでも難しい金融を題材にしているわりには分かりやすく、映画としても盛り上がりを見せてくれる。よくできた映画と言っていい。


The Big Short Official Trailer #1 (2015) - Brad Pitt, Christian Bale Drama Movie HD

この映画を見た人は、これを機にリーマン・ショックを再検討するものよいだろう。いま振り返っても様々な教訓を残している。それが必ずしも活かされているとは言えないところが残念だが。

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