退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

コミック「銭ゲバ」を読んでみた。「金のためなら、なんでもするズラ」

先月、映画版『銭ゲバ』(1970年)を観て面白かったので、ジョージ秋山による原作を手にとってみた。「週刊サンデー」に1970年から1971年かけて連載されていた作品。リアルタイムで読んでいたわけではないが、前に読んでから何年経つだろうか。懐かしい。「ゲバ」という語が時代を感じさせる。

銭ゲバ 上 (幻冬舎文庫 し 20-4)

銭ゲバ 上 (幻冬舎文庫 し 20-4)

銭ゲバ 下 (幻冬舎文庫 し 20-5)

銭ゲバ 下 (幻冬舎文庫 し 20-5)

極貧から殺人を繰り返してのし上がり、金と名誉を手中にする青年・蒲郡風太郎(がまごおり・ふうたろう)の壮絶な生涯を描く。「ビッグコミック」などの青年誌に掲載されるの相応しい漫画で、少年誌「週刊サンデー」に連載されていたのは不思議な気がする。

漫画に勢いがありぐいぐいと作品と引き込まれる。公害問題など当時の世相を反映した内容もあるが、いま読んでもなかなか面白い。もっと評価されてもいいだろう。惜しむらくは文庫サイズでなく、もっと大きな版で読みたかった。

余談だが、この作品は2009年に松山ケンイチ主演でテレビドラマ化されている。Huluで配信されていたので見てみたが、2009年時を舞台に翻案されていて原作とはまったくの別物だった。映画版のほうがずっと面白いが、残念ながらソフトされていない。

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