退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

「所沢市のエアコン住民投票」で思ったこと

一部で話題になっていた所沢市の小中学校にエアコン設置の是非を問う住民投票が、15日に行われた。

結果は下記のとおり。賛成票が反対票を上回ったものの、市条例で「結果の重みを斟酌(しんしゃく)する」とした条件である「多数表が投票資格者の3分の1」を満たさなかった

 埼玉県所沢市で2月15日、航空自衛隊入間基地に近い防音校舎の小中学校にエアコンを設置すべきかどうかを問う住民投票が実施され、賛成が5万6921票、反対が3万47票と賛成が上回った。しかし、投票率が31.45%にとどまったため、市条例の「多数票が投票資格者の3分の1以上」の条件を満たさなかった。投票資格者総数が27万8248人のところ、投票者数は8万7763人だった(うち、無効票は795票だった)


Source: ねとらぼ

全国でも異例の住民投票となった今回の騒動について思ったことを挙げる。

エアコン設置は住民投票で問う問題なのか

こんな瑣末な問題で住民投票で行うのは異例とのらしい。たしかに他では聞いたことがない。

「騒音のなか窓を締め切ったら授業にならない」ということが事実であれば、生徒のために予算の優先度を上げてエアコン設置するべきだろう。なぜ何年にもわたり客観的な基準について住民との間で合意が形成できいのだろう。

市長が独自の考え方を持っていたとしても、市議会には担当する委員会はあるだろうし、市の教育委員会もあるだろう。なぜ住民投票までしなかればならなかったのか理解できない。

下記のように所沢市のHPでこの問題の経緯を紹介しているが、事実が淡々を書かれているだけで、市と住民との間にどのような齟齬があったかまでは不明。それでも所沢市はかなりの情報を公開しているので、問題の把握には役立つ。

投票率に呆れた

今回投票率が31.45%だった。市条例で定めた条件が「投票資格者の3分の1」なので、投票した人が全員賛成しても条件を満たせなかったことになる。お話にならない。

これで大半の所沢市民にはこの問題に関心がなかったことが明らかになった。これで地方自治とは片腹痛い。

こんな住民投票にカネを使うぐらいなら、その費用をエアコン設置の一部に充当したほうが有益であろう。

市長は住民投票の後、投票率が低いことを嘆くコメントを出していたが、おそらく最初からこうした結果になるのが分かっていたのだろう。これで堂々と民意によりエアコンを設置しませんと言い張ることができる。

なんで真冬に住民投票するのか

もうひとつ疑問に思ったことは、なぜダウンジャケットを着て外出するような真冬に住民投票をするのかということ。この季節にエアコン設置とか言われてもピンと来ない。夏に住民投票をやれば結果が違っていたかもしれない。

まあ投票時期までも市側の戦略に入っていたとしたら、なかなかの策士がいるのだろう。

まとめ

この問題に対する所沢市民の無関心が明らかになった。大半の住民が「どうでもいい」と考えていて、エアコン設置を求めているのは、ごく一部の人だったということだ。

エアコン設置の是非は別にして、こうした一部の住民にしか関心のない問題は住民投票に向いてないようだ。住民投票を利用して議論を深めていくのが理想なのだろうが、小中学校の設備に関心があるのは生徒の保護者ぐらいだ。

市長は「住民投票の結果を慎重に検討する」とコメントしていた。これでエアコン設置に「ノー」と言えるわけだが、その判断については次回の選挙で市民の審判を仰ぐことになるだろう。

やはり選挙のときに人物重視で投票して、然るべき人物を市長や議員として選出するしか対応策はなさそうだ。まあ選挙でも投票率が低いのだろうが、それはどうしようもない。

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photo by David McKelvey