退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

台風19号接近で考えるNHKのあり方

連休最終日、大型で強い台風19号が列島縦断して日本各地は大荒れになった。唐突だが今回の台風接近を通してNHKのあり方を考えてみたい。

花子とアン 総集編」が休止に

NHKは、13日午前8時からの朝ドラ「マッサン」は予定通り放送したが、その後に放送予定だった「花子とアン 総集編」は台風情報に差し替えられて休止となった。その後も編成を大きく変更して、暴風域に入るおそれのある地方からのレポートや、台風の進路予想、各地の風雨の状況などを刻々と伝えた。

そのため放送予定だった番組はほんとんが休止となり、台風情報を優先するNHKの姿勢を鮮明にした。営利企業である民放ではなかなかできない大胆な編成替えで、公共放送の面目躍如といったところだ。

公共放送としての組織防衛か

上のような編成替えから見える、「公共放送としての役割を自覚しています( キリッ)」みたいな態度は一見立派に見える。しかし本当は地デジのマルチチャンネルの機能を使えば通常の番組を放送しながら、台風情報を放送することもできるのにやらない。

そうした姿勢をあざといと感じるのは私だけだろうか。実際、はるか遠方に上陸した台風情報なんて必要ない。必要なのは自分の住んでいる地域の情報だけであり、そうした情報はいまではネットからいくらでも入手できる。延々とテレビで台風情報を放送する必然性はこれまでより減少している。

もっとも台風情報をこれでもかと放送するのは組織防衛のためだと考えると納得できる。NHK解体を唱える人たちに対して「あなたも台風や地震のときはNHKを見るでしょ」と言いたいのだろう。

まあ、現状では災害時にNHKが必要だとする主張には説得力がある。しかし、それはNHKがいま果たしている機能が必要だということであり、現在のNHKのあり方をそのまま容認するものではない。

NHKの裏の顔は「訴訟上等!」

今回の編成替えは、受信料という盤石の収入源があり、スポンサーに依存していないNHKだから可能だったといえる。受信料の徴収はNHKにとって死活問題であり、組織維持の要諦である。

放送法を根拠にしているとはいえ、受信料の支払いを拒む一般の人に訴訟を起こす事例が続々と報道されている。みせしめだ。ここには「訴訟上等!」という、NHKのもうひとつの顔が透けて見える。

そうしたなか、受信料支払いを求める宿泊施設相手の訴訟にNHKが勝訴したいう報道があった。

ホテルの客室に設置されているすべてのテレビについて受信契約しろというわけだ。ずいぶんとアコギな主張だが、第一審とは言え司法により認められた事実は大きい。現行の放送法は明らかに時代遅れだと思うが、「悪法もまた法なり」ということらしい。

NHKのあるべき姿とは

ひと言で言うのは難しいが、今回の台風情報について言えば、国民の生命と財産がかかっているのだから、国が責任をもって国民に知らせるべきだと考える。政府と国民をつなぐ小規模な国営放送があってもいいだろう。

他にも、政府がやるべき機能、民間でやるべき機能、そして公共放送でなければいけない機能は何かを切り分けることから始めたい。公共放送としての最小限の機能を基に、NHK解体を考える時期にきている。もう法外な値段での電波の押し売りは御免被りたい。

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photo by lamont_cranston