退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

大学進学率の地域格差がすごいけど…

大学進学率の地域格差が拡大しているという記事を見つけました。ぶっちゃけ地域格差は放置しかないと思います。思いつくままに感じたことを書きます。

大学進学率の地域格差が拡大

少し前ですが大学進学率の地域格差が拡大しているという朝日新聞の記事がありました。文科省の調査を基に朝日新聞が算出したデータです。

これによると、「大学進学率の地域差、20年で2倍 大都市集中で二極化」とあります。全国平均の進学率は53.9%ですが、都道府県別に集計すると次のようになります。

都道府県別では東京の72・5%が最高で、次いで京都(65・4%)、神奈川(64・3%)、兵庫(61・7%)など。最低は鹿児島の32・1%で、低い順に岩手(38・4%)、青森(38・6%)など。40%未満は5県だった。

大都市圏では愛知と大阪が58・1%、福岡52・8%などだった。

進学率は20年前に比べて全都道府県で上昇し、全国平均も32・8%から21・1ポイント伸びた。一方、都道府県別の最大差は広がり、1994年の19・4ポイント(東京=40・8%と沖縄=21・4%)の約2倍になった。

驚いたのは東京の進学率は72.5%に達していることです。公立中学校のクラスを想像してみてください。成績中位以下の生徒が大学に進学してどうなるかとも思いますが、これが現実です。

親としては、進学率がここまで高くなると子どもの適性とは別に、Fランク大学でも進学してもらわないと寝覚めが悪いのかもしれません。

スーパーグローバル大学も東京に集中

地域格差が拡大する一方で文科省はリソースの重点配分を進めています。先月、発表された「スーパーグローバル大学」もその一例です。文科省では、大学の国際競争力強化のため、国際化や人材育成などの取り組みを財政支援する「スーパーグローバル大学創成支援事業」の対象に、37校を選びました。

この37校を地域別に分類してみます。この研究志向の地方旧帝大は別格にしても、タイプB(グローバル化牽引型)に選ばれた大学をみると、選考基準はよくわかりませんが明らかに東京一極集中の傾向が見えます。選択と集中の一環でしょう。もともと東京に有力大学が多いことを考えても偏りがあるように思えます。

「スーパーグローバル大学」というネーミングはどうかと思いますが、政府のお墨付きをもらった私大はほくほく顔でしょう。しかし大学の地域格差は拡大しそうです。

スーパーグローバル37大学(※はトップ型、無印はグローバル化けん引型)

【北海道】1  北大※
【東北】3   東北※ 国際教養 会津
【関東】2   筑波※ 千葉 
【東京】15  東大※ 東工大※ 東京医歯※ 慶応※ 早稲田※
        東京外 東芸 上智 ICU 明治 立教 法政 東洋 
        芝浦工大 創価
【中部】5   名大※ 金沢 豊橋技科 長岡技科 国際
【近畿】6   京大※ 阪大※ 京都工繊 奈良先端 立命館 関西学院
【中国】2   広島※ 岡山
【四国】0   なし
【九州】3   九大※ 熊本 立命館アジア太平洋

MOOCは地域格差解消につながるか

こうした地域格差を解消するにま「MOOC」が有効だという意見があります。だれでも思いつきそうなアイディアですが、これで地域格差を解消するは難しいように思います。

居住場所に関わらず誰もが安価で良質な高等教育を受けられるようにするには、アメリカのようにインターネット上で誰もが受講できる大規模な開かれた講義「MOOC」を質量ともに充実させることです。日本でもアメリカから数年遅れで、今年ようやく「JMOOC」が始まりました。

これにより、意欲のある人はだれでも、どこでも勉強することが可能になるというわけです。

ただ新卒一括採用がいまだに主流の日本で「MOOC」は評価されるでしょうか。企業の採用方式が変わらないとなんともなりません。一見不合理に見える新卒一括採用も実は企業と学生双方にメリットがあります。それがなければ、とっくに廃れていますよね。

さらに理系出身者からいうと、機材を使う実験や実習はMOOCではまだまだむずかしいのではないでしょうか。そもそも既存の放送大学の評価がMOOCの困難さを物語っていると思います。まあ、趣味レベルで好きな分野を勉強するにはいいかもしれませんが……。

地域格差をどうするべきか

進学率だけでなく、東京一極集中に伴う地域格差は拡大しつつあります。地方創生なんて謳っていますが、もう解消する余力は日本には残っていないでしょう。

実際、首都圏に住んでいるといろいろな分野で明らかに有利です。そうでなければ、人やカネが東京一極集中するわけがありません。大学進学についても然り。

自宅から通える範囲でも進学先は選り取りみどりです。一方、地方では自宅通学可能な範囲に限定すると、地元の駅弁大学の受験に失敗すると、あとはFランク大学への進学しかない。そんな事例もたくさんあるようです。

たしかに能力と意欲があるすべての学生が高等教育を受ける機会があるのが理想でしょう。ただ、そこまでの余裕はもはやありません。ただし、地方の本当に優秀な生徒は近くの旧帝大に進んでもらい、学生寮の充実させたり、学費を免除したりという優遇策はあってもいいかもしれません。

まあ地域経済が疲弊しているなか中堅の地方大学を卒業しても、相応しい仕事があるかも疑問です。優秀な学生がこぞって地方公務員を目指す地域に未来があるとも思えません。酷な言い方になるかもしれませんが、地域格差は基本放置でしょう。日本に余裕がなくなると、ますます選択と集中が進むことになるでしょうが、これも時代の流れです。

親が越えられない壁になった

かくいう私は地方から東京の大学に進学しました。一流とは言えない滑り止めの中堅大学でしたが、親は進学を許してくれ援助してくれました。大学にも地方出身者がたくさんいました。おかげでキャリアを始めるにあたっては、まあまあのスタートを切れました。

いまとなっては親に感謝するとともに同時に親が越えられない壁になりました。相当無理させたと思うと頭が上がりません。いまのご時世なら進学のために上京するのは無理だったかもしれません。日本経済が好調だった時期なので、これも「時代」のおかげ言えるかもしれません。

「男は親を越えて一人前」とよく言いますが、もう越えられない壁になりました。なんか悔しいが、これも時代だと思って気楽に行こうと思います。

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photo by Simon Cumming