退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【読書感想】中本千晶『タカラヅカ100年100問100答』

宝塚歌劇団100周年を迎えて、このような「100」が並ぶタイトルの本がでるだろうなと思っていたが、やっぱり出ました。タカラヅカ関連の著書が何冊もある著者の手によるQ&A集です。よくまとまっていて読みやすい本です。

タカラヅカ100年100問100答

タカラヅカ100年100問100答

「ズバリ、トップスターになれる確率は?」「中卒と高卒ではどちらがトップスターになる確率が高い?」「組替えは本当に増えたのか?」「日本物の上演はどのくらい減っているのか?」といった疑問に実際のデータを基に答えているのが特徴と言えるでしょう。

このほかにも「なぜ結婚したら辞めないといけないのか?」という項目で、タカラジェンヌの結婚と仕事について触れていて、安部首相が女性の力の活用が求めている昨今にはタイムリーな話題です。

結婚したら辞めなければならないタカラヅカのルールは、創設当時の時代背景を考えれば当然で、創設者の小林一三も、タカラヅカの教育方針は「結婚第一主義」であると説いています。つまり、女性としての一番の幸せの道は、結婚して幸せな家庭を築くことだということです。

いまの基準では時代錯誤とも言えますが、アンケート結果には「結婚して妻になっているのに舞台でキザるのは説得力がない」「結婚すると生活が透けて見える」など、もっともな意見が紹介されています。なかには「専科さんだけは、結婚後も続けられてもいいかも」というあり、このあたりが落とし所かもしれません。

もうひとつ、「なぜ、男性ファンは少ないの?」という項目では、 タカラヅカの魅力である「理想の恋人、擬似彼氏」としての存在感、「同じ女性として」の憧れは、男性へは訴求できないという理由が挙げられています。なるほど……。

さらに、 劇場という空間に男性が少ないのはタカラヅカに限らない、チケット掲示板「おけぴネット」の利用者は9割は女性なのだそうです。たしかに演劇のマーケットは女性で支えられていると言われれればそうかもしれません。この本には、その理由は説明されていませんが、どうして劇場に男性が少ないのか興味のあるところです。