退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『武士の献立』(2013) / 二匹目のドジョウは美味かったか?

新文芸坐で、映画『武士の献立』(2013年、監督:朝原雄三)を鑑賞。2010年に公開された映画『武士の家計簿』に続き、加賀藩を舞台とした時代劇。前作では「そろばん侍」を取り上げたが、今回は料理で藩主に仕える「包丁侍」をユニークな切り口で描く。

武士の献立 Blu-ray

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  • 出版社/メーカー: 松竹
  • 発売日: 2014/06/07
  • メディア: Blu-ray

加賀藩江戸屋敷の台所方・舟木伝内(西田敏行)から、料理の腕を買われた女中の春(上戸彩)は息子・安信(高良健吾)の嫁にと望まれ嫁入りする。兄の急死で跡取りになった安信は料理はからっきし、御役目にも身が入らない。そんな安信を春がきびしく料理指導して、料理も上達して仕事もうまくいく。さらに加賀騒動を絡めながら安信と春の夫婦愛を描く。

ざっくり言うと、バツイチで年上の女房が夫をもり立てて大成するという「あげまん」の話である。しかし、上戸彩はどうしても「あげまん」に見えないところが最大の難点。逆に疫病神っぽく見えてしまう。しかも劇中に目が泳いでいて挙動不審だし、着物が似合わないのもちょっと…‥。キャスティングに疑問あり。

「あげまん」役といえば、すぐに宮崎あおいが思い浮かぶが、さすがに同じような役をたくさん演じているので、手垢がついて感が否めない。個人的には、貫地谷しほりで撮ってほしかった。

また終盤、加賀騒動で地に落ちた加賀藩の面目を保つため、幕府の使者や近隣の大名たちに饗応料理を振る舞うシーンがあるが、もっと饗応料理を丁寧に取り上げてほしかった。どんな料理だったのか興味がある。せっかく「包丁侍」の映画なのだから、全般的にもっと料理を大事にしてもよかったのではないか。

余談だが、映画のなかに柚餅子(ゆべし)という食べ物が出てくる。以前、和菓子で食べたことがあるが、同じものだろうか。色々なバリエーションがあるのだろうか。すごく気になる。

『武士の献立』予告篇 - YouTube