退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

『細雪』(1950)

DVDで「細雪」(1950年、阿部豊)を鑑賞する。谷崎潤一郎の同名小説の初の映画化。「細雪」は過去3回、新東宝(1950)、大映(1959)、東宝(1983)でそれぞれ映画化されている。

細雪 デジタル・ニューマスター [DVD]

細雪 デジタル・ニューマスター [DVD]

4姉妹に花井蘭子、轟夕起子、山根寿子、高峰秀子が配されているが、四女・妙子(高峰)に焦点をあて長編小説をうまくまとめている。最初の映画化としては無難な仕上がりであろう。

関西弁が自然で大阪の没落していく旧家の雰囲気がよく描かれている。だが、のちに市川崑監督によりリメイクされた東宝版に比べるとどうしても古臭いし地味な印象を受ける。やはり豪華な和服をカラーで見たいというのが人情であろう。

やや余談になるが、このDVDには浦崎浩實、小谷野敦らによる解説リーフレットが付いていてなかなか読みごたえがあった。さすがは紀伊國屋書店である。