映画街としては随分と寂しくなった歌舞伎町の新宿ミラノで「シャッターアイランド」(2010年、マーティン・スコセッシ)を観る。
何度か観た予告編からは推理がウリなのかと思いながら映画に臨むが、推理モノとしては途中でオチが簡単に見えてしまうのは難点。これで「ラストを人に言わないでください」とか、謎解きを前面に押し出した宣伝には違和感がある。
しかし映画としては充実している。スコセッシ的な演出やディカプリオの熱演により、重厚な仕上がりになっている。とくに断崖絶壁、打ち寄せる波、南北戦争の砦だったという建造物など舞台となる島の描写はやたらと雰囲気がある。
またテンポのよいストーリー展開は目を話せないし、ラストの主人公の一言も胸を打つ。どちらかと言うとヒッチコック風のサスペンス映画。オチが「脳内」というは、正直アンフェアな気もするが、なかなか格調のある映画である。