「マイレージ、マイライフ」(2009年、ジェイソン・ライトマン)をTOHOシネマズシャンテで鑑賞する。原題は、“Up in the Air”というが、ナイスな邦題がついている。
- 出版社/メーカー: 角川映画
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きっとこうした気取った映画は閑散としているかと思ったら、結構混雑していたので意外に感じた。日比谷という場所柄もあるのかもしれない。
企業に代わりリストラ対象者に解雇を宣告する「リストラ宣告人」ライアン(ジョージ・クルーニー)は、全米を飛び回り、首切りに忙しい。年間322日を出張に費やすライアンは、「飛行機が我が家だ」「家族はいらない」と言い放つ独身者でもある。そんな彼が、さまざまな出来事をとおして、人とのつながりの大切さに気づく、というストーリーである。
経済不況の現代社会を風刺するということでは、「リストラ」を取り上げたことは実にタイムリーだし、他にもネット社会、結婚、家族といったキーワードにより、主人公ライアンの生きざまが浮かび上がる。
ラストには寂寥感が漂うが、安易にハッピーエンドにしなかったのは正解だろう。わが国でも「無縁社会」というキーワードが流行しつつあるが、そうした社会問題からの視点からも考えさせられる映画である。
しかもリストラ、人間関係といった深刻なテーマを扱っている一方で、エンターテインメントとして破綻なく成立していて緻密な作品に仕上がっている。
主人公は出張族のビジネスパーソンなので、観客にとっても、マイーレージ、荷物の詰め方、空港の利用術など参考になるかもしれないし、ビジネス英語のよいサンプルとしても役に立ちそうだ。
オススメできる映画だが、都区内でわずか6館と上映館が少ないのは残念。シネコンでは、バカみたいに同じ映画を上映するだけでなく、広く作品を紹介してほしいものだ。