退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

「子ども“人質”に女性秘書『恫喝』10時間」(週刊朝日:2月12日号)

一貫して検察批判の論陣を張る「週刊朝日」の今週号(2010年2月5日号)に、上杉隆さんが執筆した「子ども“人質”に女性秘書『恫喝』10時間」(p.22)という記事が載っている。Twitterをはじめとしてネット上でも話題になっていたので、さっそく読んでみた。

この記事は、石川知裕容疑者の女性秘書に対し、地検特捜部が行った事情聴取の様子を詳しく伝えている。記事によれば、次のように卑劣が手段が取られたとしている。

  • 押収品の返却だと「ウソ」をついて検察が女性秘書呼び出した。
  • 任意の事情聴取にもかかわらず、外部への連絡を許さず、10時間以上「監禁」した
  • 子どもを人質に虚偽の供述を強要し「恫喝」を続けた。

これが事実とすれば、由々しい所業であり、どこかの国の秘密警察や特高警察のようだ、と言われて仕方ない。検事のチンピラのような横暴な口調もひどい。まったくの恫喝だ。
ただ、女性秘書がなぜ諾々と「監禁」されていたのもわからない。「任意」なのだから、事情聴取を拒否して立ち去ればいいだけだとも思うが、その経緯は記事からはわからない。

また、この記事で特徴的なのは、事情聴取にあたった検事が“民野健治検事”と実名で報じられていることだ。実名報道が検察の逆鱗に触れたのか、検察は、この記事に対して週刊朝日編集部に抗議文を送付し、編集長へ出頭要請を出したとのことだ。反論があるなら記者会見でもして説明責任を果たしてほしい。

しかし恐ろしいことになってきた。検察の圧力に屈して、週刊朝日の「暴走検察」シリーズも、いよいよ一巻の終わりかしらん。来週号に注目したい。

政治家に対しては選挙で有権者が審判を下せるが、その一方で「暴走検察」を掣肘するにはどうすればいいのだろうか。これにはメディアの果たすべき役割が大きいと思うが、こうした報道は、新聞やテレビなどの大マスコミでは決して取り上げられない。まったくどうしたものだろうか。

少なくとも、記事の真偽のほど、そしてこの非道な聴取が事実ならば、検察内部でこの民野検事がなんらかの処分を受けるのか、というあたりに注目したい。そして、こうした記事を読むと「取り調べの可視化」は不可避かなとも感じる。