退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

『実録三億円事件 時効成立』(1975)

先日、銀座シネパトスで「実録三億円事件 時効成立」(1975年、石井輝男)を見る。1968年に発生した「三億円強奪事件」を題材にとり、大胆に潤色して映画にした作品。

実録三億円事件 時効成立 [DVD]

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主人公の犯人(岡田裕介)が、入念な準備をして犯行におよぶまではテンポよく楽しめるが、捜査から逃れ、市中に潜伏するようになると、貧乏くさくてテンションが下がる。ただ、主人公が馬好きという発想はユニークで、競走馬が頓死するあたりで場内に笑いもれて盛り上がる。

出演者では、事件を追いかける中年刑事を演じる金子信雄が圧倒的に魅せる。相当にデフォルメして役作りしているが期待を裏切らない。ほかには、犯人の情婦の小川真由美が色っぽいのも特筆できる。時効成立後の犯人が、どのように今後の人生を送るかわからないが、小川真由美のような情婦を得た時点で、犯人の人生は半ば成功したといってよいだろう。うらやましい。