退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

『くノ一忍法』 (1964)

新文芸坐の「中原早苗深作欣二」特集で「くノ一忍法」(1964年、中島貞夫)を観る。山田風太郎の同名小説の映画化。中原早苗が、くノ一(女忍者)の一人を演じている。

くノ一忍法 [DVD]

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話は次のとおり。大阪城の落城前夜、豊臣氏の血筋を保つため、真田幸村は女忍者5人に秀頼の子を宿し、城から落ちのびるように命じる。5人は目的を果たし、千姫(野川由美子)の侍女として家康の駿府城に入る。その企てを知った家康は配下の伊賀忍者に、豊臣の血を絶やすように命じ、忍法対決が繰りひろげられる。

結局、女忍者のお色気忍法が見どころ。術を用いるのに、いちいち術の名前を叫ぶのがお約束だ。ひとりひとり相打ちで人数を減らしていきながら徐々に緊張感が増していき、テンポアップしていくのはいい演出である。

女忍者の配役が結構豪華。中原早苗芳村真理、葵三津子、三島ゆり子、金子勝美の5人。みなさんスタイルがいいですね。

後年、この路線で多くのVシネマが作られたが、この映画には古臭さを感じない。本作に葉山レイコが出ていても違和感がない、と思わせるほどだ。おそらく低予算だったと思われるが、幻想的な舞台美術が前衛的というか観念的なのが印象的。また、ラストの場面での野川由美子の存在感は特筆できる。