退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

『マディソン郡の橋』(1995)

早稲田松竹で「マディソン郡の橋」(1995年、クリント・イーストウッド)を観る。「グラン・トリノ」との二本立てだったが、それに比べるとさすがにイーストウッドが若い。

マディソン郡の橋 特別版 [DVD]

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メリル・ストリープクリント・イーストウッドとの演技対決は実に見どころがあるが、やはり彼女のための映画といいてよい。映画としても、雨の場面、ラジオの使い方、ラストのウィンカーなど細かい演出は見るべきものがあり、入念に造りこんであるので安心して見ることができる。

ただ中年女性の不貞なんかは見たくもないよ、というのが正直なところ。退屈な日常に飽きて、実直な夫を裏切り不貞したところまではともかく、結局駆け落ちもせずにそのまま家庭に留まるのは、あまりにも都合が良すぎるだろう。まったく共感できない。まあ男から見れば、「都合のいい女」ということも言えるが――。

公開当時、本作はかなりのヒットを記録して、自分をメリル・ストリープに重ねた中年女性が大挙して劇場に詰めかけたらしい。この映画でうっとりするような齢の取り方はしたくないね。