退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

今井絵理子『ココロノウタ』

ココロノウタ〜息子と歩んだ4年間、そしてこれから〜

ココロノウタ〜息子と歩んだ4年間、そしてこれから〜

SPEEDの今井絵理子が2008年夏の『24時間テレビ』で、息子の礼夢くんの視聴覚障がいを公表したのは知っていた。今回、表紙の写真に惹かれて手に取ってみた。

出産後の検査で聴覚障がいが見つかったときのこと、配偶者との確執、子育ての悩みや喜び、そして障がいを公表することの葛藤などが、ポジティブかつ素直に書かれています。親子の写真にも力があります。

ミュージシャンである母が、自分の歌声が子どもに届かないと知ったときに苦悩はどれほどだったろうか。想像を絶するものがあります。これを克服していく様子も読みどころです。強いです。

障がいを公表することについては、「子どもを売りにするな」といった批判があるかもしれませんが、社会への影響力のある人には、応分の使命というか責務があるようにも思えます。実際、他の障がい児の母親から元気をもらったといった声も届いているとのこと。すばらしいことです。

これからも、障がい者のコミュニティーと一般社会との架け橋になってほしいと思いました。また、礼夢くんの将来に幸多かれと願うばかりです。

やや余談ですが、この本に収録されている黒柳徹子との対談はすばらしかったです。ふだんは『徹子の部屋』などでインタビュアーとしての姿が目立っていますが、この対談では、ご自身の数々の活動を淡々と語っており興味深かったです。