シネマート新宿で、「宗方姉妹」(1950年,小津安二郎)を鑑賞する。新東宝特集の巨匠シリーズ最後の作品。
- 作者: 田中絹代
- 出版社/メーカー: 東宝
- 発売日: 2004/01/30
- メディア: DVD
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本作品は、小津安二郎が、松竹を離れて新東宝で撮った作品。原作は大仏次郎の同名小説で家庭崩壊という重いテーマを扱っている。
主演は姉妹を演じる田中絹代と高峰秀子。戦後になり日本の伝統や因習が失われていくさまを暗示するように、古風な姉と自由奔放な妹との対比が描かれる。おきゃんな高峰は見どころのひとつだろうが、どうも彼女のキャラクタとは違って浮いてしまったようだ。
注目すべきは、田中の夫役の山村聰。彼は無職で厭世的に日々を過ごしているが、それを支える妻の献身ぶりが、だんだんと夫を追いつめていったのだろうか。山村聰の陰鬱さが印象に残る。死んでなお妻の胸中に深い影を落とすという生き方もいいかもね。少なくとも人畜無害な上原謙よりも憧れる。
だが巨匠・小津安二郎の映画としては物足りない。主人公の二人が姉妹に見えずバランスが悪いのも残念だが、それでも、ふたりとも小津映画に溶け込んでいるのはさすがというべきか。それに暗すぎる映画なので鑑賞後の後味は悪い。