退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

日経コンピュータ:「年金問題は防げた」

雑誌「日経コンピュータ」(2009年1月15日号)の特集「年金問題は防げた」(ITproで一部が公開されている)を興味深く読んだ。ITシステム構築に関わったことのある人ならば、自分なりに原因や背景を想像してみたのではないだろうか。この特集では「宙に浮いた年金記録」について取材・分析を通して一連の問題を振り返りつつ、新組織への移行の含めた再発防止への動きを追っている。

冒頭、ミスター年金の長妻昭衆議院議員が登場して「喝」を入れている。まあ、批判するだけなら誰でもできるかな、と思いながら読んでいると、長妻議員がNECでメインフレームの営業の経験があるとのこと。「私に10人のSEを付けてNTTデータと組ませてほしい。そうすれば、問題の全貌を解明し、壊れた記録のかなりを修復できるはず」と豪語する。

この特集では、問題の真相として次の5つを挙げて解説している。また「裁定主義」「デ通サ(データ通信サービス契約)」といった制度上の問題についても言及している。

  1. ミス防止機能がなかった
  2. 氏名データの変換ミス
  3. 修正の先送り
  4. 本人への通知を怠る
  5. ITガバナンスの欠如

さらに社保庁解体によって誕生する日本年金機構へ向けての改革も始まっている。社保庁の年間IT予算は1000億円を超えるというのに、これまでCIOが不在なのは驚いた。改革のリーダーシップをとる年金機構のCIO人事の行方も焦点となろう。記事でも何人かの候補を挙げて、その求められる資質について触れている。

しかしこの年金問題により、本来もらえるべき年金を受け取れない人たちや、低い給付額しか受け取れない人たちがたくさん出たはずだ。そもそも、これだけの不祥事を起こしても誰も責任を追及されないのがいちばん納得いかない。少なくとも社保庁の幹部の何人かは、ネクタイをはずされ手錠をはめられて、検察に連行されるという画を見られないものか。