退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

『時計じかけのオレンジ』(1972)

DVDで久しぶりに鑑賞。やっぱり面白い。学生時代には、この作品を称賛すれば、スノッブな映画好きとみなされる雰囲気があったような…。

時計じかけのオレンジ [DVD]

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スタンリー・キューブリック(Stanley Kubrick)の演出が冴えまくっている。興味深いのは、各所にキリスト教を暗示するシーンが登場するところ。これは原作に沿ったものなのだろうか。特にルドヴィコ療法を受けて出所した後の主人公・アレックスは、キリストのような災難に遭う、まるで聖書のなかの物語を見ているようだ。

前半は、暴力シーンが多いので苦手な人は注意する必要があろう。ま、ちょっと困るのは、この映画を観ると、ジーン・ケリー(Gene Kelly)の「雨に歌えば」を聞くと、この映画でのレイプシーンを思い出してしまうところ。洗脳されたかな。それだけ、この曲が強烈な印象を残すということでもある。

原作には、この映画では削除された最終章があることはよく知られている。原作本でも、一時期は最終章を削除して出版されていたが、日本では今年になって、最終章を含む「完全版」が早川書房から発売されている。この最終章によって、小説の意図するところがまったく変わってくると思われるので、機会があれば読んでみたい。

時計じかけのオレンジ 完全版 (ハヤカワepi文庫 ハ 1-1)

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