少し前だが、ヴィスコンティの大作『山猫』を新文芸坐で鑑賞した。随分前にも名作ということだけで何度か観たことがあったが、そのときは舞踏会の華やかさに目を奪われたものの、どうもテンポが合わないなと感じた。今回あらためて観てみると、すこしは人生経験を積んだせいか、バート・ランカスター演じる公爵の悲哀が少しはわかった気がした。
19世紀後半のイタリア統一戦争の時代が舞台で、世界史に出てきたカルバルディの赤シャツ隊がシチリアを征服するあたりは、一篇の歴史絵巻である。
映画のなかでは、やはり自然光にこだわって撮影されたという舞踏会の場面が最大の見せ場であろう。荘厳華麗な美術や衣装は、一度は大きなスクリーンで観る価値がある。とくに公爵とアンジェリカがワルツを踊るシーンは圧巻。また舞踏会でのバート・ランカスターの諦観というか哀しさがなんともいえない。
映画は公爵が舞踏会の会場を出たところで終わるが、ランペドゥーサの原作はもう少し続きがあるようだ。この先の展開がちょっと気になる。
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