退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

シルヴァーノ・アゴスティ『誰もが幸せになる 1日3時間しか働かない国』

飛行機のトラブルのために、ユートピア「キルギシア」の入国することになったイタリア人が、友人あてに書いた手紙を通して、人間の生き方を考える"おとなの寓話"。タイトルと表紙のデザインに惹かれて読んでみた。小さな本なのですぐに読み終えることができる。

誰もが幸せになる 1日3時間しか働かない国

誰もが幸せになる 1日3時間しか働かない国

この本を読んだからといって、現実に立ち向かわなければならない理不尽ともいえる現代社会の諸問題の解決に、直接役立つわけではないが、よりよい生き方を考える契機にはなるかもしれない。とくに考えさせられたのは、「人間や社会のメカニズムがどうすればいいか」というリストである(「六通目の手紙」から)。

  1. ちゃんと眠る
  2. ちゃんと食べる
  3. ちゃんと働く
  4. ちゃんと学ぶ
  5. ちゃんと与える
  6. ちゃんと創る
  7. ちゃんと愛し、愛し合う
  8. あらゆるものごとには、それを覆う不思議なベールがある。そのことをちゃんと意識する

なかなか深いものがある。

この本の著者と主人公はイタリア人だが、イタリア人といえば、ラテン系で、人生を楽しむのが得手で、バカンスをたっぷりとって、会社勤めでも自宅に帰って昼寝をするというように、まったりしたイメージなのだが…。ま、これは勝手なステレオタイプによるイタリア人像だろうが、やはりイタリア人でもストレスを抱えてるんだなとも思ったものだ。