ヒッチコックの名作。鳥の大群が人間を襲うあまりにも有名なパニック映画。いまならSF的な説明が付くのだろうが、この映画では鳥が人間を襲う理由が一切明かされないのが、かえって良い。終盤、一軒家が鳥に襲われるシーンで、鳥の姿が見えずに音だけ聞こえるのが実に効果的である。音楽や効果音もないが、ひたすら怖い。いろいろな意味で「古典」といえる作品で、監督の完璧主義がよく顕れている。
借りてきたDVDには特典映像として、1時間20分程度のメイキング映像が収録されていた。これがすばらしい。だれもが感じる「どうやって撮ったの」という疑問によく答えており、光学合成などの当時の最新の撮影技術について詳しく説明されている。また、当時の出演者やスタッフが出演して、この映画に関連するエピソードを語っているが、その中にヒッチコックの人柄がうかがえて興味深い。
このメイキングでは、採用されなかったオリジナルラストの脚本も紹介されている。本来の構想では、車で家を脱出した後、鳥に蹂躙された街を抜け、さらに車が鳥に襲われるシーンがあったようだ。結局、なんらかの理由で映画にはならなかったのだが、こうした幻のシーンに思いを寄せるのも楽しい。
- 出版社/メーカー: ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン
- 発売日: 2007/06/14
- メディア: DVD
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