退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

稲垣太郎『フリーペーパーの衝撃』

街中でよく見かける「R25」「ホットペッパー」などのフリーペーパーのビジネス・モデルについておもしろく読んだ。これはフリーペーパーの大きな可能性を感じさせるが、一方無料日刊紙「ヘッドライントゥディ」が商業的に失敗するあたりの取材にはいろいろと考えさせられる。わが国初の日刊無料紙の挑戦は既存の大手新聞社の圧力によりあえなく頓挫する。当時はかなり市場が閉鎖的だったのがわかる。まあ既存のマスコミが権益を守るのに汲々となるのは当然であるが。

また”Metro”などの海外の事例を取り上げているのも参考になった。確かに欧米に行くと多くの無料紙のラックがあるのに気づく。将来、東京でも日刊無料紙が再び登場するのだろうか。昨今の状況をみると、いずれ有料紙はセグメント化が進み、読者を絞り込んだ紙面にならざるを得ないだろう。またインテリ層しか有料紙を読まなくなる時代も遠くないかもしれない。

私自身も駅などで「R25」を見つけると一応手にしてして読んでみるが、やっぱり活字の量が足らない。1つのコラムが800字では無理もないが、こんなのばかり読んでいるとバカになるのではないかと心配する。また新聞の社説のように雑誌としての意見やメッセージはないのだろうか。また後半に進むにつれて、ますます軽薄な内容になっていくので、最後まで読まないで破棄することが多い。これでは国民白痴化に向けて一直線ではないかと思わないでもない。やはり自分で用意した本を読むのが一番だ。

フリーペーパーの衝撃 (集英社新書 424B)

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