退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【囲碁】芝野虎丸が史上初の10代名人に!

8日、囲碁の第44期名人戦七番勝負の第5局で、挑戦者の芝野虎丸八段が張栩名人を破り、4勝1敗で名人を奪取した。10代初の七大タイトル保持者となった。囲碁界の一大ニュースである。平成四天王の一角からタイトルを奪取したのも新時代を感じさせる。

10代の名人は史上初で前人未到の偉業であるが、私が驚いたのは新名人がまだ19歳だったということ。もうすでに長い間、棋界で活躍したかと思ったからだ。調べてみると、新名人の入段は2014年9月、14歳のことである。それから5年1か月で名人奪取というのはもちろん最速であるが、ずっと以前から虎丸が活躍していた印象がある。

昔、新名人が二段ぐらいのころだっただろうか、ニコ生の囲碁番組に出演して、上手くコミュニケーションがとれず、年上の女流棋士にいじられていたこと思い出す。そのときは「この人は大丈夫かいな」と思ってものだ(遠い目)。

今回、名人奪取を決めたあとの記者会見を見ると、なかなか堂々とした様子だが、独特の飄々したところも残っていたちょっと面白かった。


【ノーカット】史上初の10代名人 芝野新名人が会見【囲碁名人戦・第5局】

名前もインパクトがある。ご両親も「虎丸」とはすごい名前を付けたものだ。名前負けしていないところも立派だが。ちなみに兄の芝野龍之介もプロの囲碁棋士で、ふたり併せて「竜虎」というのだから、さらにすごい。

碁界の出来事がテレビのニュース番組で報じられることはほとんどないが、さすがに今回の快挙はこぞって報道されていた。これをきっかけに囲碁への関心が高まればいいなと思うが、なかなか難しいだろう。

今回、私は対局を途中からYouTubeで見ていたが、ときどき解説を入れて工夫の跡は感じられるが、プロ棋士の対局を面白いと感じるには相応の棋力が必要だろう。おそらく同じテーブルゲームの将棋よりもハードルが高いのではないか。

いまのように娯楽が溢れている時代に、時間とエネルギーを投入して囲碁を覚えようという人は少ないだろう。新名人のユニークなキャラクターが囲碁普及の一助になればと祈るばかりである。

月刊碁ワールド 2017年 10 月号 [雑誌]