退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『バンデットQ』(1981) / テリー・ギリアム監督のファンタジー映画

新文芸坐の《魅惑のシネマ・クラシックス Vol.33》という企画で、映画『バンデットQ』(1981年)を鑑賞。鬼才テリー・ギリアム監督の初期に手掛けたファンタジー映画。邦題の「Q」は配給会社が勝手に付けてもので意味がなく、原題はTime Banditsという。banditは強盗の意。オリジナル全長版。イギリス映画。

イギリスの低所得者向けの住宅街。11歳の主人公ケヴィンは口やかましい両親にウンザリししていた。ある日、ケヴィンは子ども部屋のクローゼットから突如馬に乗った騎士が表れるの目撃するが、誰にも取り合ってもらえない。そこでインスタントカメラと懐中電灯を用意して待ち構えていると、今後は6人の小人(dwarf)が現れた。小人たちはタイムホールが記載された地図を持ち時空を自由に移動できる強盗団だという。ケヴィンは小人たちと冒険に出ることになるが……。


Time Bandits (1981) ORIGINAL TRAILER [HD 1080p]

冒頭のクローゼットから馬が飛び出すシーンでノックアウトされる。ワクワクする冒険の始まりだ。その後、一行はナポレオン・ボナパルトイアン・ホルム)、ロビン・フッドジョン・クリーズ)、アガメムノン王(ショーン・コネリー)などの時代を旅する。ナポレオンが嫌なヤツとして描かれていたり、それぞれの歴史上の人物の評価に作家性が出ていて面白い。

波乱万丈の旅のクライマックは悪魔の居城でのラスボス悪魔(デビッド・ワーナー)との対決だ。小人たちは戦車やガンマンなどを助っ人に呼び込むが悪魔に圧倒される。そんなとき創造主(ラルフ・リチャードソン)が登場して悪魔を破壊してしまうが……。

この居城での奇想天外が戦いを見て、私は「新スタートレック」(TNG)の「Q」を思い出した。TNGが影響をこの映画の影響を受けているのかわからないが、「Q」つながりは因縁らしいものが感じられる。どこかでTNGを見直したいものだ。


Star Trek: Q's Lessons

ラストにケヴィンは現実に戻り、自分の部屋のベッドに戻る。なんだ「夢オチ」かと思ったが、テリー・ギリアムはやすやすと問屋は卸さない。悪魔のかけらに触れた両親が消し飛んでしまうというバッドエンド。残酷な童話という趣の作品だが、興行上これでいいのかと思ったが、案の定日本公開時はこのエンディングがカットされて「夢オチ」として上映された。監督の意向はどこに行ったのか……。ひどい話だ。

今回、大きなスクリーンで『バンデットQ』を見れるということで楽しみにしていたが、映像の品質はイマイチ。事前にBDでの上映とはわかっていたが、やや残念だった。リマスタリングしてDCPにしてほしい作品のひとつだが、マイナーな作品なので難しいかもしれない。いつかきれいな画質で見てみたい。