退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『眠狂四郎殺法帖』(1963) / 市川雷蔵版眠狂四郎シリーズ第1作

DVDで映画『眠狂四郎殺法帖』(1963年、監督:田中徳三)を鑑賞。大映映画による市川雷蔵主演の眠狂四郎シリース第1作。原作は柴田錬三郎

眠狂四郎殺法帖 [DVD]

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加賀藩のお家騒動に巻き込まれた眠狂四郎市川雷蔵)が単身その渦中に飛び込んでいく。まあストーリーはどうでもいい。

一般論として、シリーズは第1作は優れていて、回を重ねるごとに失速していくのことが多いが、この眠狂四郎シリーズは例外。まだまだ雷蔵が演じる狂四郎の人物像が固まっていない。本作の狂四郎はとにかく饒舌で口数が多すぎる。これでは狂四郎がただの剣の強い色男の堕してしまう。

最大の見せ場である、市川雷蔵若山富三郎の対決も勝負がつかずに期待はずれ。「剣道三倍段」といういかに少林寺拳法の達人とは言え、素手で「最強の剣士」に立ち向かえるはずもなく、この対決はどうなのだろう。この対決がきちんと落とし前をつけてくれれば、映画の印象も変わっただろう。

それでも本作は娯楽映画としてまあまあ楽しい。少林寺拳法の達人・陳孫(城健三朗、後の若山富三郎)の体術は相変わらずすごいし、中村玉緒の色気シーンも堪能できる。シリーズのなかでは凡作だろうが、一応の水準はクリアしている。しかしシリーズが長く続いたのは、三隅研次監督や池広一夫監督らの功績によるところが大きい。