退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

剣道漫画の金字塔「六三四の剣」を読了!

村上もとかの剣道漫画「六三四の剣」(文庫版・全10巻)を読了。剣道を題材としたスポーツ少年漫画。『週刊少年サンデー』で1981年から1985年まで連載された。

主に岩手県盛岡市を舞台に、剣道一家で生まれ育った夏木六三四が「岩手の虎」と称された父の死を乗り越え、ライバル・東堂修羅たちと切磋琢磨しながら成長する正統派少年スポーツ漫画。

某漫画サイトで冒頭部が無料公開されていたのを読んで全巻読み直した。古い漫画を大人になって読み直すと「どうなのこれ?」という場合も多いが、この漫画は思い出補正抜きで十分面白い。大人の鑑賞に耐えうる作品である。

高校編もいいが、この作品のなかで好きなのは、主人公・六三四の幼少期から小学時代を描いたパートである。自然豊かな岩手県でわんぱくいっぱいの活発な少年・六三四の描写が実にいい。主人公たちの話す方言もよいスパイスになっている。

物語は中学時代をスキップして一気に高校時代に進み、インターハイ優勝を目指す六三四が描かれる。ライバルたちは二刀流や示現流などを取り入れて六三四の前に立ちはだかる。現代剣道にこうした古武道が通用するのかと思うが、地味な現代剣道だけではネタ切れなのだろう。いずれにせよ、高校編は読み応えがあるが、ややリアリティに欠けるように思う。

六三四が修羅を倒してインターハイで優勝したあと、六三四は教師を、修羅は医師を目指して勉強中というラストである。納得のエンディングで読み終わったという満足感がある。

防具のなかにキャラクターの顔を描くのは大変だろう、これはアニメになったら地獄だなと重ながら読んでいた。知らなかったのが、本作はアニメ化されているらいい。未見だがいつか見てみたいものだ。

さて剣道漫画の古典としては、ちばてつやの「おれは鉄兵」を挙げることができるが、「六三四の剣」はそれ以来の剣道漫画のヒット作だろう。私は盛田賢司の「しっぷうどとう」も好きなのだが、こちらもいつか読み直してみたい。

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