退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『ボヘミアン・ラプソディ』(2018) / フレディ・マーキュリーの伝記映画

近くのシネコンで映画『ボヘミアン・ラプソディ』(2018年、監督:ブライアン・シンガー)を鑑賞。ロックバンド「クイーン」のボーカリストフレディ・マーキュリーの伝記映画。フレディを演じたラミ・マレックは、本作でアカデミー賞主演男優賞を受賞している。

気になっていた映画だったが名画座で見ればいいかなと思っていたが、先日AbemaTVで配信された『プラベスト1986』のライブ映像に刺激を受けて、やっぱりシネコンで観ておこうと出かけてきた。そろそろ客足が減ってゆったり見れるかと思ったがほぼ満席だった。堂々たるロングラン。

ボヘミアン・ラプソディ(オリジナル・サウンドトラック)

クイーンの音楽の魅力に頼りすぎていて伝記映画としての深みには欠ける。フレディの孤独と苦悩をもっと丁寧に描いていいだろう。フレディの悩みが劇中ではあっさりと解決するのもご都合主義と言わなければならない。クイーンの他のメンバーはそっくりでナイスなキャスティングなのだが、ストーリーへの関与は少なくてやや物足りない。

またセクシャリティというセンシティブな問題に対しても、真っ向勝負せずにどこか避けているような印象を受けた。ゲイカルチャーへの切込みは浅く、これも期待はずれ。


Bohemian Rhapsody | Official Trailer [HD] | 20th Century FOX

それでも完璧に再現されたと言ってもよい「ライブ・エイド」(1985年)のステージは圧巻。このクライマックスにすべてが収斂していく構成は見事に奏功している。ラミ・マレックフレディ・マーキュリーのなり切っていて、アカデミー賞の受賞も納得のパフォーマンスである。

冒頭の20世紀フォックスのファンファーレからクライマックスのライブまで、ロックな気分になれる映画。日本ではロック映画はヒットしないジンクスを見事に打ち破った点も評価したい。

ぜひ音響のよい映画館で観ることをオススメします。