退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『地球に落ちて来た男』(1976) / デビッド・ボウイ初主演作

新文芸坐の《追悼 ニコラス・ローグ》で映画『地球に落ちて来た男』(1971年)を鑑賞。一日限りのニコラス・ローグ追悼上映。監督の代表作のひとつ。

ある日、宇宙船がニューメキシコの砂漠に落下する。謎の男トーマス(デビッド・ボウイ)は弁護士オリバー(バック・ヘンリー)のもとを訪れ、自らの発明のビジネス展開を依頼する。その発明は人類の科学水準をはるかに超えるもので巨大企業をつくりあげる。実はトーマスは宇宙人であり、地球にやってきた目的は干ばつに苦しむ母星に水を届けることだった……。


The Man Who Fell To Earth 40th Anniversary official trailer

とにかくデビッド・ボウイを愛でる映画。この頃の彼は本当に美しい。彼を宇宙人にしたのは短絡的にも思えるが納得の配役。また若い頃のデビッド・ボウイを記録した映像としても貴重である。

ニコラス・ローグらしい近未来の映像美を堪能できるが、単純なエンターテイメントにとどまらずに観念的なところは良くも悪くも監督らしい。観ていてかなり疲れる。

SF映画としても捉えてもよくわからない。母星を救うにはもっといい方法があるのではと思ってしまう。地球侵略を考えなかったのは、やさしいからなのかダメダメなのか。結局、地球人とは共存できずに、地球人にアル中にさせられておしまいという救いようのない顛末。母星の残された家族たちが可哀想。

この映画は、昔見たときによくわからなかった記憶があるが、いま見てもやっぱりよくわからない。不思議な映画である。