退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【悲報】改正入管法、可決・成立/外国人労働者の受け入れ拡大

外国人労働者の受け入れ拡大を図る改正入管法が、8日未明の参院本会議で可決・成立した。来年4月1日から施行される。当日、夜更かしをして、ちょうど成立の瞬間を見ることができた。

これは単純労働者の受け入れを正式に認めたという点において、「日本の転換点」とも言える重大な政策変更である。将来、外国人労働者が社会問題になり、日本社会に禍根を残すことになれが、この日が歴史的な日として記憶されることになるだろう。

少子高齢化が進むなか労働人口減少に伴い、その一部を外国人労働者で補うというのは理解できるが、制度設計が杜撰すぎる。というか細かいことは省令で定めることになっているので、一番知りたい受け入れる業種や規模などが現時点ではまったくわからない。

一応、政府は今後5年間で最大34.5万人の受け入れを見込むというが、法律で上限が決まっているわけでもない。実際どうなるかは政府に一任である。いわゆる白紙委任である。そのため、まったく国会での議論が噛み合わなかった。

とくに国会で酷かったのは、失踪した技能実習生に聞き取りした調査結果を共有できなかったことである。国会議員が調査個票を手書きで「写経」する映像を見て頭が痛くなった。現状の問題点を精査することなく新制度の導入などありえない。

本来なら人権侵害や強制労働などと非難の集まっている「技能実習生制度」を、まず何とかしようと考えるのが普通であろう。にもかかわらず、この悪評高い「技能実習生制度」はそのまま温存して、今回の改正で「特定技能1号」「2号」という在留資格を新たに設けることになった。

政府は「これは移民ではない」と繰り返していたが、現時点ではこれが本当なのかまったく分からない。たしかに政府が在留資格を付与しなかったり、更新しなかったりすれば、外国人労働者在留資格を失い、不法滞在者になる。政府が定住を許さないという強い意思で臨めが、たしかに移民にはならないだろう。その場合、大人しく帰国してくれるとは限らない。不法滞在者として地下に潜るかもしれないが、その場合のどう対処するのだろう。不法滞在者狩りでも始めるのだろうか。

まあいずれにせよ、日本が大きく舵を切ってしまったことは確かである。中長期的にとてもうまくいくとは思えないが、いったん受け入れを拡大すれば後戻りはできない。この日が災厄の始まりにならないことを祈るばかりである。