退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【読書感想】雨宮紫苑 『日本人とドイツ人 比べてみたらどっちもどっち』(新潮新書、2018年)

帯に「(日本人とドイツ人は)『似ている』なんて大ウソ」とあった。私はちっとも似ているとは思わないが、帯に釣られて手に取ってみた。

日本人とドイツ人  比べてみたらどっちもどっち (新潮新書)

日本人とドイツ人 比べてみたらどっちもどっち (新潮新書)

筆者は、学生時代にドイツに留学した経験があり、現在はドイツ人のパートナーがいてドイツ在住の26歳の日本人女性。好評を博したブログを新書にまとめたもので、筆者にとっては初めての本になるという。

本のなかで著者自身が述べているように、アカデミックで包括的な文化論というわけではなく、著者の現地での体験をもとにした等身大の比較文化論というかエッセイである。

個人的にタイムリーかつ面白かったのは、以下のふたつの章である。

  • 第5章: 欧米に「働き方改革」を学ばないほうがいいかも
  • 第6章: 教育格差を嘆く前に知っておいてほしいこと

第5章の「働き方」についての議論はいまの日本にタイムリー。「メンバーシップ型」と「ジョブ型」の議論はいま盛んに行われているが、ジョブ型を採用するドイツに現状を日本人の視点で紹介しているこの章は読む価値がある。筆者は日本がジョブ型に移行するのは困難だと結論付けているが、いずれ日本でも「働き方改革」の波は否が応でもやってくるだろう。とくに日本企業では馴染みにないジョブ型について、一定の理解が得られるのではないか。

そして、第6章の教育制度については、日本とはあまりにちがうドイツの教育制度を紹介しながら、教育格差についても言及していて興味深い。ドイツでは、子どもが10歳の頃に大学進学するコースとそうでないコースに振り分けられるという。教育機会とは何だろうと考えさせられる。また海外に行くとドイツ人に限らないが、ジョブ型を採用している国の若者がプラプラと貧乏旅行している場面に出くわすが、このあたりのカラクリもこの本を読むと納得できる。

まあ日本のビジネスパーソンにとっては、日本でもドイツでもビジネス経験にない小娘に何がわかるのかと言いたくなるムキもあるかもしれないが、エッセイとして楽しく読むのがいいだろう。筆者のドイツでの体験を通して、現代日本の問題点に気づくということもあるだろう。サクッと読めるのでちょっとしたスキマ時間にどうぞ。

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