退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『マンガをはみ出した男 赤塚不二夫』(2016) / 天才・赤塚不二夫の人生を描いたドキュメンタリーxアニメーション映画

DVDで『マンガをはみ出した男 赤塚不二夫』(2016年、監督:冨永昌敬)を鑑賞。前から気になっていた作品だったが、少し前に放送されたNHK土曜ドラマバカボンのパパよりバカなパパ』(主演:玉山鉄二)に刺激を受けてようやく見てみようと思い立つ。

マンガをはみだした男 赤塚不二夫 [DVD]

マンガをはみだした男 赤塚不二夫 [DVD]

漫画家・赤塚不二夫の人生を、縁のあった人物のインタビューや生前の各種映像(写真・プライベートフィルム・テレビ番組)などの膨大な素材を再編集して描いたドキュメンタリー映画赤塚不二夫が生みだしたキャラクターたちのアニメーションが効果的に使われていて、アニメーションとドキュメンタリーとの融合という表現方法が新鮮に思える。

本人の肉声と、ゆかりの人たちの複数の視点から浮かび上がる、天才・赤塚不二夫の知られざる人物像は必見。とくに興味深かったのは、当時の連載を担当していた編集者たちの証言。本編で使われなかった部分は特典映像として収録されている。編集者が原稿をタクシーで紛失してしまうが、赤塚先生は怒らずにネームをもとに描き直したというエピソードは有名だが、その編集者本人がインタビューで語っている姿は貴重だろう。

また赤塚先生がテレビのバラエティ番組に出演していた幻の映像もレア。バストを露出した女性たちとバカ騒ぎしている姿はかなりすごい。いまではコンプライアンスとやらでこうした番組づくりは無理だろう。時代の勢いを感じると同時に、時代の渦にダイナミックに生き抜いた赤塚先生の人生の一面を見た思いがした。


『マンガをはみだした男〜赤塚不二夫』予告編

また彼の最高傑作を問われて、皆が「レッツラゴン」だと声を揃えて言うのには驚いた。「おそ松くん」、「天才バカボン」、「ひみつのアッコちゃん」、「もーれつア太郎」でもなく、「レッツラゴン」なのか……。読み直してみたくなった。

レッツラ*ゴン (小学館文庫―赤塚不二夫名作選)

レッツラ*ゴン (小学館文庫―赤塚不二夫名作選)

惜しむらくはタモリのインタビューが実現していないこと。その代わりというわけでもないが、タモリが主題歌を歌っている主題歌が流れるエンディングのアニメも見どころである。


タモリ「ラーガ・バガヴァット」 / 映画「マンガをはみだした男〜赤塚不二夫」

満州から引き揚げてきた赤塚不二夫が、ギャグ漫画の世界で天下を取り、昭和の日本をたくましく生き抜いた姿は胸を打つものがある。もうすぐ平成も終わろうとしているが、赤塚先生の姿はいまなお鮮烈な印象を残す。

余談だが、パッケージソフトは不思議な構成のDVD2枚組だった。2枚目は本編の字幕付きだが、DVDの字幕機能ではダメだったのだろうか、何かのこだわりがあるのだろうか。いまもって謎である。