退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『子育てごっこ』(1979) / 加藤剛と栗原小巻が教師夫婦を演じた健全映画

新文芸坐の《端正な美貌、知性あふれる演技 追悼・加藤剛》で映画『子育てごっこ』(1979年、監督:今井正)を鑑賞。原作は三好京三による直木賞受賞小説。三好が教師だったときの実体験を基にしている。

子育てごっこ

子育てごっこ

岩手県の山奥にある小学校分校の教師夫婦(加藤剛栗原小巻)は、放浪作家(加藤嘉)が連れ歩いていた子ども・リカ(牛原千恵)を引き取ることになる。二人はしつけのできていない野生児のようなリカに手を焼くが、リカも初めての学校生活を経験し、二人の愛情を受けているうち次第に二人に心を開いていく。その後、放浪作家が死去し実母に引き取られるがソリがあわず、ついに教師夫婦がリカを養子とすることを決意する。

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リカに厳しく接するなかにもの確かな愛情が感じられる男先生役は、加藤剛の誠実なイメージにぴったり。ふだん見る機会の少ない作品でもあり、加藤剛の追悼企画としては納得できる。

ただし映画はそれほど面白くない。リカが成長している過程がきちんと描かれていないし、画一的教育の是非など広い意味での教育問題についても深掘りされてていない。文部省推薦の健全映画という印象だ。

あえて見どころをさがせば、子役・牛原千恵の演技の素晴らしさ、そして栗原小巻のメガネ姿だろう。とくに後者は、夫婦喧嘩の場面で加藤剛のビンタ一閃で栗原のメガネがふっとび、美人の素顔が現れるあたりはコマキリストには堪えれない名シーンかもしれない。

余談だが本作で加藤嘉が演じた放浪作家のモデルは、「気違い部落」シリーズの著者として知られる、きだみのるとされている。これが実話というのだからすごい。