退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『ブロウアップ ヒデキ』(1975) / 1975年・西城秀樹の暑い夏

新文芸坐の《追悼・西城秀樹 ヒデキ、フォーエバー!》で、映画『ブロウアップ ヒデキ』(1975年、監督:田中康義)を鑑賞。ヒデキが20歳のときの作品。1975年夏のコンサートツアーのライブ映像を中心に構成された劇場公開映画。

ブロウアップ ヒデキ 豪華版

ブロウアップ ヒデキ 豪華版

新文芸坐が今年6月に1日だけ西城秀樹の追悼企画を上映したとき、なぜか『ブロウアップ ヒデキ』がなかった。歌手・西城秀樹を追悼するには「何をおいてもコレをかけろよ」と思ったものが、ようやく見ることができた。この映画は都内の他のイベントでも追悼上映されたが、ホームグラウンドの新文芸坐で見ることにした。

圧巻は「西城秀樹・全国縦断サマーフェスティバル」のオープニングイベント。富士山麓緑の休暇村に特設された野外大ステージがすごい。何本ものクレーンがそびえ立ち、ヘリコプターが飛び回るという見たことのない映像だった。

工事現場の足場のようなステージでスタッフはヘルメットをかぶって奮闘する。いまなら安全を考えて決して実現できないようなステージで見ごたえがある。曇天だったが惜しいが、昼間のステージなので明るい映像が撮れている。

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ヒデキのパフォーマンスもさることならが、ファンの少女たちの表情が実にいい。時代はちがうが、少女たちがアイドルに熱中するのはいまも変わらないようだ。映画館には、当時のファンだと思われる中年女性の観客もいたが、当時に思いを馳せていたのだろうか。

「映画は『時』を記録する」と「しねままんすりい」にあったが、まさにその通りだと感じた。同時に音楽の持つ力の強さも感じさせられた。

この映画のヒデキはまだ若い。その後、彼はボーカリストとして成長し歌唱は深みを増していき、ヒット曲を連発することになる。男の魅力溢れる円熟したヒデキのステージも大きなスクリーンで見てみたいものだ。

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