退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

月組バウホール公演『愛聖女(サントダムール)―Sainte♡d'Amour―』のライブ中継行ってきました

週末、都内某シネコン月組バウホール公演『愛聖女(サントダムール)―Sainte♡d'Amour―』の千秋楽のライブビューイングを見てきました。主演は愛希れいか。作・演出は齋藤吉正。宝塚では激レアな娘役主演の公演で、前回の娘役主演は、月影瞳の「Over The Moon」(2001年)をいうから17年ぶり。

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どんな演目か?

「愛聖女」は、火刑に処される直前に現代にタイムスリップした中世フランスの英雄ジャンヌ・ダルク(愛希れいか)を描いた、新感覚のミュージカルショー。今年11月に退団予定の愛希のプレ・サヨナラ公演ともいえる。

キューティーステージと銘打たれている舞台だけあり、ダンサーである愛希の得意とするダンスシーンがたっぷり盛り込まれ、彼女の魅力がいかんなく発揮されている。ポスターを飾るピンク色のポップな衣装をはじめ、修道士やカフェの店員、ジャージ姿など七変化を見せてくれる。

右手を付き挙げたポージングは、「満天星大夜總会」(2003年)で花總まりが演じたHANACHANGを彷彿させる。サイトー先生はこういう娘役をフューチャーした演出は上手い。

余談だが、女帝と謳われた花總が、宝塚で主演公演を経験していないのは意外だが、タカハナが揃って退団する「添い遂げ退団」だったからだろうか。

宝塚の文法からはずれた舞台

通常、男役が主演する場合はヒロインが必ず傍らにいて愛を歌い上げるのいつものパターン。しかし、今回は娘役主演であり相手方がいないため、宝塚の文法から外れた舞台になっている。強いていえば、現代に迷い込んだジャンヌ・ダルクを家に連れて帰る女子大生・パメラ役の天紫珠李が相手役だろうか。さらに上級生が少ない若手中心の編成なのも通常の公演とちがうところかもしれない。

天紫は物語の語り部の役割を担っているので、セリフが多くて大変そうだったが、愛希との絡みも多くデュエット曲もあり重要な役だった。天紫は男役から娘役に転向したばかりで、同じ経験をした愛嬌との共演は得るものた大きかっただろう。劇団の教育的配慮だろうか。今後の活躍を期待したい。

「愛・アモール」がよかった

芝居の終了後、短いショーがあった。愛希以外の出演者たちが黒燕尾と黒ドレスで群舞やデュエットダンスを披露したあと、愛希が白いドレスでさっそうとステージに登場。踊りながら「愛・アモール」を歌い上げる。これを見るだけでも来た価値があるというもの。さすがです。

「NOW ON STAGE」では「愛・アモール」が自分の原点だと語っていたが、初舞台の思い出だろうか、それともファン時代から思い入れのある曲なのだろうか。

ライブビューイングはどうだったか?

初めて映画館のライブビューイングで宝塚を観劇した。劇場とはちがい、自分の好きな場所を見るわけにはいかないが、オペラグラスは要らないし、服装にあまり気を使わなくていいので気軽に観劇できるメリットはある。

とくに今回のように東上しないバウホール公演については一定のニーズがあるだろうし、少人数の公演はとくにライブビューイングに向いているように思う。もっと普及してもいいのかもしれない。

欲をいえばせっかくディスプレイに映すのだから、キャストの名前が画面に表示されればいいなと思った。生中継では難しいかもしれないが、これ実現できればライブビューイングならではの特典として訴求できるだろう。

舞台からライブビューイングの観客に呼びかける気遣いもあったが、やはり一方通行なのは否めない。そして拍手する人もいないので会場のテンションはやや低め。来る前は、まさか映画館でも拍手や手拍子とかするのかしらと思っていたが、さすがにそれはなかった。

料金はちょっとお高い気もする。しかし、パフォーマンスとの兼ね合いもあるので評価は難しい。今回は料金以上のものは十分にあったと思うが、いつもこうはいかないだろう。これは劇場で見るときも同じだが……。

まとめ

激レアの娘役主演の公演なので、ライブビューイングで観劇してみた。さすがに関西まで行けないのでバウホール公演をライブビューイングで見れるのありがたかった。

内容は満足できたので観劇してよかった。愛希の最後の公演は「エリザベート」なので、一本物でレビューないので、踊りまくるちゃぴを見るのは最後だったのかもしれない。そう思うと貴重な機会だったのだろう。

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