退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

ライトノベル「りゅうおうのおしごと!」を第5巻まで読んでみた

2018年の冬アニメ「りゅうおうのおしごと!」(全12話)を見て、私はなかなか面白いと思ったが、ネット評判は賛否割れていた。ちょっと意外だったが、批判的な意見を拾ってみると原作のよさがスポイルされているというものが多い。

もともと「りゅうおうのおしごと!」は白鳥士郎原作のライトノベル。16歳の若さで竜王位を獲得した主人公・九頭竜八一が、ちょんなことから女子小学生を内弟子に迎えるという話。ちょうど第5巻までがアニメ化された部分にあたる。原作ありの映像化作品についていろいろ考えていたので、今回も原作のライトノベルを読んでみることにした。

りゅうおうのおしごと! (GA文庫)

りゅうおうのおしごと! (GA文庫)

りゅうおうのおしごと! 5 (GA文庫)

りゅうおうのおしごと! 5 (GA文庫)

ふだんライトノベルを読み慣れていないので戸惑うこともあったが楽しく読めた。いろいろ読みやすくする工夫も参考になるが、いちばん驚いたのはアニメのキャラクターがそのままラノベの文庫に載っていたことだ。もちろんこれは原作本のイラストがほぼそのままアニメのキャラクターデザインとして採用されているのからである。

第5巻まで読んでみたが、アニメに批判的な原作ファンの気持ちがよくわかった。冒頭から師匠が放尿したり、新世界にて賭け将棋で修業したり公序良俗に反する描写はアニメ化できないのはわかる気もするが、やはりエピソードが表面的に取捨選択されてアニメ化しているためにストーリーに奥行きがなくなっている。

尺が決まっているので仕方ないとも思うが、ラノベ原作の良さがかなりスポイルされている。アニメを見て気に入った人はぜひ原作のライトノベルにも手を伸ばしてほしい。


TVアニメ「りゅうおうのおしごと!」好評対局中

最近はおびただしい数のアニメが製作され、そのなかの多くは原作付きである。おそらく今回の「りゅうおうのおしごと!」と同じように原作のよさが活かされずにいたずらに消費されているのだろう。まあライトノベルそのものが消費されるメディアともいうことができるが、ちょっと寂しい気もする。

原作者は当初、第5巻で完結させようとしていたらしいが、現在も継続されている。アニメの続編があるかわからないが、機会があればぜひ第2期を見てみたい。

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