モリカケ問題の渦中にある文部科学省でまたまたスキャンダルが発覚。現役局長が逮捕されるというホームラン級の不祥事が露見した。しかも絵に描いたようなストレートな事案で呆れてしまう。
文部科学省科学技術・学術政策局長の佐野太容疑者が、私立大学の支援事業をめぐって東京医科大学に便宜を図る見返りに、受験した自分の子どもを不正に合格させたとして受託収賄の疑いで東京地検特捜部に逮捕された。
単純な裏口入学とちがうのは、自腹で大学に寄付金を渡して子どもの入学をお願いしたのではなく、職権を悪用して文科省の事業である「私立大学研究ブランディング事業」の対象校に東京医科大学が選定されるように便宜を図ったという点である。これに選定されると最大5年間にわたり毎年2000〜3000万円の支援が得られるという。もちろん原資は国民からの税金である。
教育行政を担う文科省としては最もあってはならない類の公務員犯罪であろう。文科省が以前天下り問題で世間の批判を受けたことは記憶に新しいがまったく懲りていないようだ。今回は「私立大学研究ブランディング事業」の選定に疑惑が持たれているが、そのほかにも謎の事業がたくさんある。例えば「スーパーグローバル大学創成支援事業」というワケのわからないネーミングの事業は有名である。
たいした額の補助金でもないのに文科省の支援を受けるために大学職員や教員は書類作成に四苦八苦しているという話はよく聞く。補助金よりも文科省のお墨付きがあると大学のアピールポイントになるのだという。文科省の官僚たちはこうした支援事業を巧みに使い大学に支配力を強めて利権を拡大しているのだろう。今回の事件には構造上の問題もあるように思われる。
それにしても容疑者の子どもの医大生はこの不正入学のことを事前に知っていたのだろうか。必死で勉強して医大に合格したにもかかわらず、いまになって実は父親が用意した不正合格だと知ったのだとしたら、それは大変なショックだろう。
こうして不正合格が発覚した以上、合格取り消しとなるだろうが、そうならなくてもそのまま在学することに耐えられるほど神経は太くないだろう。それでも医師への道が目指すのなら、正々堂々と入試を突破してほしいものだ。学力不足の医師に診られる患者はたまったもんじゃないない。