退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

高度プロフェッショナル制度導入を含む、働き方改革関連法が成立。いよいよ日本終了か!?

先月末に安倍政権の念願でもあった働き方改革関連法が成立した。この関連法案は、一括審議だったこともあり、信じられないほどの雑な国会審議を経て、与党の賛成多数で成立した。

www.huffingtonpost.jp

この関連法案には、企業への規制が強化され労働者の利益となりそうな残業時間の上限規制や非正規労働者の待遇改善も含めれているが、やはり高度プロフェッショナル制度高プロが盛り込まれていたことは大きい。以前はこれに加えて、裁量労働制の対象拡大という罠も入れ込まれていたが、立法根拠とされたデータに捏造が発覚して、この部分は削除された。

この高収入の一部専門職を労働時間規制から外す「高度プロフェッショナル制度」というのはとんでもないシロモノなのだが、不思議なことにあまりマスコミが取り上げることはなかった。

ざっくり言うとこんなとんでもない制度である。

  • 労働時間に規制はなし(今回残業時間の上限規制が制定されたが高プロは対象外!)
  • 休憩もない(会社は高プロに休憩を与えなくてもOK!)
  • 残業代も当然なし(残業代だけでなく深夜労働割増もなし!)
  • 休日はあるけど……(年間104日以上、かつ、4週間で4日以上の休日を与える)
  • 健康確保措置はあるけど……(時間外労働が80時間を超えたら健康診断を実施する/他)

では高プロの対象者は誰なのか。年収と業務により限定されている。

年収については、平均給与の3倍の額を相当程度上回るものとされている。今回は年収1075万円が基準とされている。そして業種についても明確に規定されていないが、政府からは金融商品の開発、ディーリング業務、アナリスト業務、コンサルタント業務、研究開発業務などが挙げられている。

まあ年収も業務も、経営者側の圧力で今後拡大されていくことは必定なので、現在「私には関係ないや」と高をくくっている人も、明日は我が身である。すぐにITや製造業のエンジニアあたりまで対象が広げられそうな悪寒がする。

そもそも労働関連法は、悪辣な経営者がいても労働者がとんでもないことにならないように、ワーストケースを想定して制度化するべきであろう。しかし今回は上で述べたように、完全に底が抜けている。歯止めがないのである。過労死が増えるだろうと懸念するのもわかる気がする。

ただし、今回対象になるような年収を取っている専門職は、自分のキャパシティを熟知しているだろうし、業界にネットワークも持っているので、経営者があんまり無茶苦茶なことを言い出すと、優秀な人材が流出するばかりが悪い噂が業界内で共有されることになる。ひいては人材確保の点で企業経営にも支障が出るようになるだろう。 そういう意味では、現在の基準ならばそれほど心配することはないのかもしれない。

それでも年収基準が500〜600万円程度まで下がってくると、業界によっては阿鼻叫喚の図が展開されることになるだろう。日本の労働慣習は不合理で改善すべきこともあるが、日本経済にとっても今回の「働き方改革」はどうみても悪手だろう。

まあ、まったく楽観的すぎる観測かもしれないが、これにより労働市場がさらに流動化して、日本の宿痾ともいう様々な労働慣習が少しでも修正されることを期待したい。かなりのフリクションがあるだろうが、一度は通らなければならない道にも思える。

まるわかり 働き方改革 (日経BPムック)