退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『血と砂』(1963) / 岡本喜八監督らしい反戦映画の傑作

新文芸坐の《「三船敏郎、この10本」刊行記念 永遠の映画スター 三船敏郎 没後20年/映画デビュー70年記念上映会》という企画上映で、映画『血と砂』(1963年、監督:岡本喜八)を鑑賞。白黒映画。将官を演じることが多い三船敏郎曹長を演じている。

血と砂 [DVD]

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舞台は北支戦線。音楽学校を出たばかりの少年兵が軍隊隊としてやってくる。なぜか敵性音楽のはずのデキシーランド・ジャズ「聖者の行進」を演奏しながら行進してくる彼らは、戦争とは無縁の存在に思われた。しかし軍楽隊は兵士として、最前線のヤキバ砦攻略に投入されることになる。指揮官は小杉曹長三船敏郎)である。少年兵たちに付け焼き刃の戦闘訓練を施し、独房で拾った古参兵たちとともにヤキバ峠を目指すが……。

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映画『血と砂』/三船敏郎と団令子

ありえない設定のファンタジーだが、軍隊経験のある監督のおかげかディテールにはリアリティが感じられる。少年兵は「トランペット」「スーザホン」のように担当する楽器で呼ばれるが、次々に戦死していくにつれ、音が薄くなっていくのは寂しさを誘う。

意外だったのは、三船敏郎が終盤ではあるが物語途中で戦死してしまうこと。主役は三船とされているが、やはり主役は少年兵たちであろう。

ほかには小杉曹長を慕う慰安婦・お春(団令子)の色っぽいシミーズ姿(死語)は必見。戦場で少年兵の筆下ろしをしてやる場面もあるが、当然映像には出てこないが……。

結局、小杉分隊は全滅。お春だけが生き残る。その日は終戦記念日だったというオチがつく。いかにも岡本喜八らしい反戦映画である。