退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『日本海大海戦』(1969) / 日露戦争を描いたスペクタル巨編。特撮は必見!

新文芸坐の《「三船敏郎、この10本」刊行記念 永遠の映画スター 三船敏郎 没後20年/映画デビュー70年記念上映会》という企画上映で、映画『日本海大海戦』(1969年、監督:丸山誠治)を鑑賞。東宝オールスターの大作。

日露戦争の開戦から、旅順攻略、バルチック艦隊との激闘を描くスペクタル巨編。三船敏郎特集だが目当ては円谷英二の手によるミニチュア特撮。この作品が円谷英二の実質的最後の映画となったという。精密なミニチュアを駆使した特撮シーンを大きなスクリーンで見るのは至福。模型を見るだけでも価値あり。

肝心の三船敏郎連合艦隊司令長官東郷平八郎を貫禄たっぷりに演じている。旅順攻略を指揮した乃木希典笠智衆)との芝居も素晴らしい。後年、三船は映画『日本海大海戦 海ゆかば』(1983年)でも東郷平八郎を演じているが、本作のほうが優れているように思う。

日露戦争のイベントが淡々と描かれていて、やや単調にも思えるが、司馬史観やエモーショナルな演出が抑えられいるのはかえって良かったのだろう。


日本海大海戦予告

劇中、ラストで軍高官が来たるべくアメリカとの戦争を示唆する場面がある。この予測どおり日本は太平洋戦争でアメリカと戦争し大敗する。本作に見る乃木希典東郷平八郎の戦い方を見ると、日露戦争でたまたま勝ったものだから、そこでの教訓がまったく活かされず、太平洋戦争には負けるべくして負けたなと思わざるを得ない。

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