退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

森友問題:「佐川氏らが文書改ざん、背任容疑不起訴処分に」で思ったこと

先週、森友学園への国有地売却に関する決済文書改ざんや大幅値引きに対する背任などすべての告発容疑について、財務省理財局長だった佐川宣寿氏 や財務省職員ら全員を大阪地検特捜部は不起訴とした。

世間の関心が高いためと特捜部長は異例の記者会見を開き、起訴を見送った理由を説明した。テクニカルなことはよくわからないが、現行法ではいずれの告発容疑において起訴しても公判を維持できないという判断だろう。会見でも悔しさがにじみ出ているようにみえた。

佐川氏は国会での証人喚問の場で「刑事訴追を受けるおそれがございますので、その点につきましては答弁を差し控えさせていただきたい」と刑事訴追の可能性を理由に証言拒否を繰り返した。これは議院証言法で認められている権利ではあるが、そうなると当初から国会で真相を明らかすることは無理だということになる。真相究明できるのは司法しかないのだ。

にもかかわらず、今回不起訴処分となったことで、「改ざんはなぜ行われたか、誰がどこで行ったか」など事件の真相を解明する機会を失うことになった。

森友問題は安倍政権との関わりが取りざたされているが、それを別にしても公文書改ざんについて刑事責任を追求できないのは大きな問題であり、法的不備があることは間違いない。このままでは行政はやりたい放題ということになる。日本の統治機構の崩壊と言っても過言ではない。

今後、罰則を伴う公文書管理のあり方が議論されることが期待されるが、今回の事件の真相を基にした法改正であるべきだろう。司法で真相が究明されることなしに、まともに法改正できるのだろうか。

この案件は、今後検察審査会が起訴の可否を審査することになるだろうが、ぜひ真相究明に向けて努力してほしいものである。

以前、財務省が決済文書の改ざんを認めたとき、当然、安倍内閣は責任をとって総辞職するかと思いきや、いまだに政権の座に居座っている。公文書改ざんは、それほど軽微な事案なのだろうか。

いよいよ日本オワッタなと思った、不起訴処分決定のニュースだった。

臨時増刊号 森友学園事件の深層『皇國ニッポン』週刊金曜日 2017年 5/30号 [雑誌]