退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『街の灯』(1974) / 堺正章主演の人情喜劇。栗田ひろみ出演作

神保町シアターの《七〇年代の憂鬱 退廃と情熱の映画史》という企画上映で、映画『街の灯』(1974年、監督・脚本:森崎東)を鑑賞。堺正章主演の人情喜劇。松竹映画。

街の灯 [VHS]

街の灯 [VHS]

ポン引き(死語)で暮らしを立てるチョロ松(堺正章)は、ひょんなことからブラジル帰りの老人(笠智衆)と記憶をなくした少女(栗田ひろみ)とともに東京から九州まで旅をすることになる。豪華な芸達者たちが顔を揃える人情喜劇。

財津一郎堺正章が住むボロ屋で田中邦衛が大暴れしたり、堺正章の一行が研ナオコフランキー堺のカップルといっしょにラブホテルに泊まったり、堺正章女子プロレスラーにコテンパンにやられたりして見どころ多数。目的地の九州で笠智衆が銀行強盗するアナーキーさは森崎東ならではの持ち味だろう。

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映画『街の灯』(1974年)/運転手はフランキー堺

終盤、銀行強盗で逮捕された笠智衆はブラジルに強制送還され、記憶を取り戻した栗田ひろみが交通事故で死亡する救いようのない結末を迎える。それでも悲しさを堺正章が悲しさを堪えながら陸橋の欄干で踊る鬼気迫る演出は必見。

映画のタイトルは、堺正章のヒット曲「街の灯り」(1973)を想起させる。しかし劇中でいつ使われるかと待ち構えていたが肩透かしを食らう。まったく紛らわしい。もちろんチャップリンの『街の灯』とも関係ない。


街の灯り 堺正章 UPB-0061

また、この映画は当時アイドルとして絶大な人気を誇った栗田ひろみが出演していることでも知られている。本作は彼女のアイドル映画ではないので、彼女がアイドル的にフォーカスされているわけでもない。ファンにとっては栗田の貴重な出演作として見逃せないかもしれないが……。

太陽と海とオレンジ

みうらじゅんも熱を上げていたという栗田だが、私は世代がちがうこともあり、それほどの思い入れはない。篠山紀信の撮影により栗田が衝撃のヌード写真を出したことはあまりにも有名だが、私がお子さまだったこともありインパクトを体験していない。

同時代のアイドルには天地真理麻丘めぐみたちがいるが、栗田とちがって鮮明に記憶に残っている。おそらく、ずっと楽曲に触れてきたことが影響しているだろう。実は栗田もシングルを3枚出していて、下のオムニバスアルバムに収録されている。3枚目の「愛の奏鳴曲(ソナタ)」はセリフ入りのちょっといい曲なので聞いてみてほしい。

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