退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『三匹の侍』(1964) / 五社英雄の映画監督デビュー作

映画『三匹の侍』(1964年)を鑑賞。1963年から1969年までフジテレビ系列で放送された人気テレビ時代劇の映画化。テレビ版も演出した五社英雄の劇場映画デビュー作。白黒映画。

代官の圧政に苦しめている百姓たちが、藩主への直訴を阻む代官の娘(桑野みゆき)を拉致して水車小屋に立てこもる。そこに通りすがりに浪人・柴左近(丹波哲郎)が現れ、百姓たちに味方する。代官は娘を救出して左近を始末するべく、桔梗鋭之介(平幹二郎)、桜京十郎(長門勇)ら浪人たちを差し向ける。この三匹の侍はやがて手を結び、代官と対決することになるが……。


Bande-annonce: Trois Samourais Hors-la-loi - 三匹の侍 (1964) de Hideo Gosha

テレビ時代劇で登場人物のキャラが確立しているおかげもあるのだろうが、尺が短いわりには、三匹の侍の個性がしっかりと描かれていて好感が持てる。丹波哲郎の存在感はすごいし、平幹二朗のニヒルさも見逃せないが、とくに長門勇のとぼけた演技が絶品。しかも槍をもたせては天下無双ときている。様々な得物を使いこなして器用な役者だった。本作以外にも時代劇の脇を固めていて殺陣の冴えを見せてくれたことを思い出す。

共演者としては代官の娘を演じた桑野みゆきが印象に残る。三匹の侍に囲まれて大丈夫かなと思ったが、強烈な個性を発揮して魅力的だった。

ストーリーは、黒澤明監督の『七人の侍』『用心棒』などからのパクリとも思える内容もあるが、ご愛嬌というところだろうか。娯楽時代劇のツボを押さえていて面白く見れた。

三匹の侍』はいつかリメイクしてほしい作品だが、現在、この「三匹の侍」に見劣りのしない俳優を3人揃えるのは難しいだろう。