退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【読書感想】茂木健一郎、竹内薫『10年後の世界を生き抜く最先端の教育 日本語・英語・プログラミングをどう学ぶか』(祥伝社、2017年)

日本の教育の現状に警鐘をガンガン鳴らす対談本です。話題は多岐にわたりますが、面白い発見がたくさんあり有益でした。

竹内は父親として自身の子どもに文科省の教育を受けさせることに納得できず、自分で「YES International School」というフリースクールをつくったとのこと。そのあたりから対談は始まります。一条校はハードルが高いので、将来は国際バカロレアの認定校を目指すそうです。

そのフリースクールでの教育理念を叩き台にして対談が進行します。トライリンガル教育(国語と英語とプログラミング言語)を重視している「インターナショナルスクール」だが、「英語が先に来ない。数学やプログラミング言語も先に来ない。柱はあくまでも国語」という方針は興味深いです。

続いて「日本の教育はオワコンだ」という章では、日本の教育の現状を徹底的に批判しています。面白いようにバッサリ切り捨ています。高学歴のふたりに偏差値なんて関係ないなどと言われても説得力は皆無ですが、本で主張していることはなるほどと思えることが多いです。

また茂木が英語の勉強法について、TOEICなんて不要と断じているのも興味深い。彼曰く、TEDのビデオを見て、ニューヨーク・タイムズの記事を読んで、雑誌「ニューヨーカー」を読んで、あとは好きな小説でも読めばいい、と。まあごもっともですが……。

あと竹内はNHKの「サイエンスZERO 」に出演しているのに、茂木が「ぼくは地上波テレビを1秒も見ない」と言っているあたりも面白かったです。

かなり極端な話が続く対談ですが、2045年問題と言われる「シンギュラリティ」の到来を考えると、それほどドラスティックに社会が変わるということかもしれません。

いま小学生ぐらいの子どもにどんな教育を受けさせるのがベストなのか、親の見識が試されているといえるでしょう。まあMARCHぐらいに入っとけばいいだろうという時代は終わったのは確かのようですね。

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