退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【読書感想】黒田龍之介『ロシア語だけの青春: ミールに通った日々』(現代書館、2018年)

筆者本人も書いているが「ロシア語だけの青春」とはなかなか恥ずかしいタイトル。まあ本当の「だけ」だったのか分からないが、ロシア語学習に大変のリソースを注ぎ込んだのはよく伝わってくる。

タイトルにあるミールというのは、かつて代々木にあった「ミール・ロシア語研究所」という個人経営の語学学校のこと。ちなみにミールとはロシア語で「平和」という意味。学校が入居していた雑居ビルが平和ビルだったというのは単なる偶然なのだが、このあたりの掴みはさすがというところ。相変わらず面白い。

この本は、黒田先生が高校生にして受験勉強とは関係なくロシア語の学習に勤しみあたりから始まり、修行の末に通訳や語学教師として身を立てるまでの12年間の成長譚である。どうしてこれほどロシア語に対する情熱を維持できたのか正直理解できないが、ミールを通して得るものが大きかったのだろうか。

また、あとがきにあるように、学校を舞台とし、学校生活を通じて主人公が成長していくという物語は多い。 この本でも、先生や学友との交流をはじめとして、大学編入や大学院進学などの進路選択、通訳や語学教師としての活動、そして学校の閉校まで、よくまとまっていて一気に読んだ。

語学学習者として興味深いのは、ミール・メソッドであろうか。授業の流れは以下の通り、「ひたすら発音、そして暗唱」がモットーである。

  1. 基本例文と応用例文の発音
  2. 単語テスト
  3. 口頭露文和訳
  4. 口頭和文露訳
  5. 質問と答え
  6. 次回の単語の発音

こうしたメソッドは少人数でないと難しいので高校や大学などでは無理だろうが、語学習得の確かな方法なのは間違いないようだ。

そもそも最近は英語でも例文の暗唱は流行らないようだ。もっと科学的な方法(?)が見つかったのか分からないが、暗唱用のテキストもあまり見かけなくなった。この本を読んで、昔『新英語の構文150』を暗唱させられたことを思い出した。

新英語の構文150

新英語の構文150

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