退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『散歩する侵略者』(2017) / わかりやい黒沢清作品

新文芸坐の恒例企画《気になる日本映画達2017》で映画『散歩する侵略者』(2017年、黒沢清監督)を鑑賞。前川知大率いる劇団「イキウメ」の同名舞台劇の映画化。併映作はWOWOWで放送されたスピンオフドラマをまとめた映画『予兆 散歩する侵略者 劇場版』だった。

地球人類から〈概念〉を奪う宇宙からの侵略者を描くSF作品。映画は2本のストーリーラインで進行する。

1つ目はある夫婦の話。数日間の行方不明の後、不仲だった夫・真治(松田龍平)が別人のようになって帰ってくる。妻・鳴海(長澤まさみ)は戸惑うが、ある日、夫から「ガイドになってほしい」と頼まれる。

2つ目はフリーのジャーナリスト・桜井(長谷川博己)の視点から見た話。一家バラバラ事件を取材することになった桜井は、その事件唯一の生存者である女子高生・あきら(恒松祐里)を探す天野(高杉真宙)から、やはり「ガイドになってほしい」と頼まれる。

散歩する侵略者

原作があるためか、黒沢清監督作品にしてはわかりやすい作品。これまで敬遠していた人も再挑戦してみるといいかもしれない。逆に黒沢監督らしさは希薄なので、ファンには物足りないかもしれない。ジャーナリストの桜井が爆撃されるシーケンスは、本作では少ない黒沢らしさが発揮されている場面なのでお見逃しなく。

タイトルから「ウルトラセブン」に出てきそうだなと思ったが、硬派なSF映画というわけではない。そもそも侵略者が〈概念〉を集めている理由がよくわからないし、侵略する動機や姿形すらも明らかにされない。

そうしたことが気になり出すと見ていて辛いかもしれない。ラストで「愛」という〈概念〉がキーになって問題が解決するわけだが、どうもすっきりしない。演劇ならこれでいいのだろうが、映画でもこれでいいのかだろうか。


映画『散歩する侵略者』予告編 【HD】2017年9月9日(土)公開

出演者の演技力でなんとか最後まで飽きずに見ることができたが、なかでも長澤まさみが素晴らしい。決して演技派ではない彼女は、キャスティングがハマると真価を発揮するタイプだろうか。今回は侵略者ではなく市井の人だったのがよかったのかもしれない。乳ゆれもよかったけど……。

他には恒松祐里のアクションのキレがすごかった。女子高生が屈強な男たちをなぎ倒していくシーンは必見。

これまでの日本のSF映画にはないタイプの作品なので、気になる人はチェックしてみるとよいだろう。ただし人を選ぶかもしれない。

f:id:goldensnail:20180405152153j:plain