退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『細雪』(1959) / 役者で楽しむ島耕二版「細雪」

新文芸坐の《大映女優祭 in 新文芸坐》で映画『細雪』(1959年、監督:島耕二)を鑑賞。谷崎潤一郎の代表作である同名小説の映画化。1950年にも新東宝が映画化しているので2度目の映画化になる。

没落する大阪の旧家の四姉妹がそれぞれの幸せを探し求める姿を描く。原作は戦前の話だが、この映画では制作当時(1959年)の頃に置き換えられている。

細雪』の映画化といえば、世代的にも映像美を追求した市川崑版(1983年)を思い浮かべるが、こちらは豪華女優陣の顔合わせを楽しむ映画と言える。大阪出身の京マチ子山本富士子は作品世界によく合っているし、船場言葉も堂に入っている。末妹の叶順子は東京出身でセリフ回しはアレと思うが清新な演技をみせていている。

ストーリーは三女(山本富士子)の縁談と、四女(叶順子)の無軌道な行動を中心に展開するが、そもそもあまり面白い話ではない。作品世界の雰囲気を楽しむ映画だろう。市川版よりこの映画の方が谷崎の世界観に合っているような気がする。

余談だが今年になってNHK BSプレミアムで「平成細雪」とういうドラマが放送されたらしい。このドラマは見なかったが、この映画を見てちょっとドラマも見たくなった。

参考にそれぞれの「細雪」のキャスト一覧を載せておく。

島耕二版(1959年) 市川崑版(1983年) 「平成細雪」(2018年)
鶴子(長女) 轟夕起子 岸惠子 中山美穂
幸子(次女) 京マチ子 佐久間良子 高岡早紀
雪子(三女) 山本富士子 吉永小百合 伊藤歩
妙子(四女) 叶順子 古手川祐子 中村ゆり

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映画「細雪」(1959年) :(左から)京マチ子山本富士子、叶順子(四姉妹のはずだがポスターは3人)