退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『の・ようなもの のようなもの』(2016) / 森田芳光監督がいない森田映画

映画『の・ようなもの のようなもの』(2016年、監督:杉山泰一)を鑑賞。森田芳光監督の劇場映画デビュー作『の・ようなもの』(1981年)の35年ぶりの続編。しかし森田監督は2011年に他界しているため、いわゆる森田組のスタッフによりつくられた。主演は松山ケンイチ

いまだに前座でうだつの上がらない落語家・出船亭志ん田(松山ケンイチ)は、師匠・志ん米(尾藤イサオ)から、かつて一門にいた志ん魚(伊藤克信)を探し出すように命じられる。一門のスポンサーである後援会会長(三田佳子)のお気に入りである志ん魚を復帰させる魂胆だ。

志ん田はようやく志ん魚を見つけるが、彼は落語とはまったく無縁の生活を送る55歳の男になっていた。それでも志ん魚をなんとか高座に上げるべく、志ん田は師匠の命令で志ん魚と共同生活を始めるが……。


の・ようなもの のようなもの(予告編)

森田芳光監督作品へのオマージュがふんだんに盛り込まれいるし、森田監督作品に出演していた俳優たちがカメオ出演を含めて大挙出演していて、監督へリスペストが詰まった作品である。

個人的には伊藤克信の35年後を見られただけでも感慨深い。まだ自分を志ん魚と重ねて見ることができないが、もう少しを年をとると映画から別のメッセージを感じることができるのかもしれない。

出演者のなかでは師匠の娘役の北川景子がよかった。やはり華がある。北川は関西出身だが、さばけた江戸っ子という役をうまく演じていた。父の弟子である松山ケンイチをいじめるあたりもツボ。そんな彼女の映画デビュー作は森田監督の『間宮兄弟』(2006年)なので縁つながりのキャスティングなのだろう。

本作の公開時に前作『の・ようなもの』が映画館で限定上映されたので見に行ったことがある。上映される機会の少ない一風変わった映画だが、後の森田映画の特徴が垣間見れる貴重な作品である。

の・ようなもの [DVD]

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少し前には鑑賞するハードルが高い作品だったが、いまは動画配信サービスで簡単に見られるようになった。『の・ようなもの』も『の・ようなもの のようなもの』も、現在Amazonプライム・ビデオで配信されている。便利になったものだ。ぜひ年代順に2本セットで見てください。オススメです。