退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『女は二度生まれる』(1961) / 天才・川島雄三が大映で撮ったアイドル映画

角川シネマ新宿の《大映創立75年記念企画 大映優祭》で、映画『女は二度生まれる』(1961年、監督:川島雄三)を鑑賞。原作は富田常雄の「小えん日記」。

女は二度生まれる [DVD]

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川島雄三監督が初めて大映で撮った映画。監督は大映幹部を前に「若尾文子を女にしてみせる」と宣言したとか。80年代のアイドル映画とあまり変わらないように思える。

芸のない不見転芸者(みずてんげいしゃ)の小えん(若尾文子)の男性遍歴をテンポよく描く。不見転とは、芸者などが金次第でどんな相手とも肉体関係を結ぶことを言うが、ほとんど死語だろう。売春禁止法が施行されたばかりの置屋といった当時の風俗を背景している。

小えんは、著名な建築家(山村聡)の妾になったり、遊び人(山茶花究)と箱根に遠出したり、詰め襟の大学生(藤巻潤)に思いを寄せたり、寿司職人(フランキー堺)といい仲になったり、若い工員の世話を焼いたりととにかく忙しい。ストライクゾーン広すぎ。

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「女は二度生まれる」:藤巻潤若尾文子

まあ、若尾に「明かりも消してよろしいかしら?」と言われたら、男性はイチコロだろうが……。しかし、小えんは男を渡り歩くだけの悪女ではなく、お人好しというか気立てのよい女として描かれているのがよい。

終盤、結婚のため寿司屋を辞めて田舎に引っ込んだフランキー堺と、山行きの電車のなかで偶然行き会うシーンが印象的。子連れのフランキー堺は若尾を華麗にスルー。若尾が山の駅でひとり佇む。人生の悲哀を感じさせるが決して湿っぽくなく、これからもおえんは自由奔放に生きていくのだろうと思わせるところがよい。

従前の若尾の出演作とはひと味ちがった作品に仕上がっていて、若尾の魅力をうまく引き出していて本当にかわいい。今回の「大映女優祭」の上映作としては出色の作品のひとつ。主題歌こそ歌ってないがアイドル映画としても大成功である。

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「女は二度生まれる」の資料(イチオシらしい)

ちなみに若尾文子川島雄三のコンビは翌年、傑作の誉れの高い『しとやかな獣』を撮っている。相性がよかったのだろう。